平成22年度 鹿児島大学FD報告書
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1.はじめに 平成22年度の合同フォーラムは、昨年度に引き続き戦略的大学連携支援事業FD・SD活動推進委員会と鹿児島大学FD委員会の合同企画で開催された。メインテーマは「大学教育改善の新たなステージへ-学生と創るFD・SDの試み-」とし、前半は井下理慶応義塾大学教授と大場淳広島大学准教授による二つの基調講演があり、後半は深川和良教育学部講師、近藤諭志學館大学准教授と九州大学教育改革企画支援室 田中岳准教授によるパネルディスカッションが行われた。 鹿児島県内の12大学・短大・高専と鹿児島大学の教職員など約120名が参加して、盛会に本フォーラムを終えることができた。2.次 第 平成22年12月4日13:00~17:00 鹿児島大学共通教育棟3号館321号教室3.基調講演(1)FD活動の実質化と大学教育改善-FD活動、今後の展開に向けて- 井下理慶応義塾大学教授の基調講演では、大学教育改革には五つの側面(理念開発、授業開発、カリキュラム開発、学習環境開発、組織開発)があり、FDの広義の定義としては「大学の組織的教育力の向上・改善」と捉えられていること、FDの背景には、制度・政策による直接的背景と人口・社会動態による間接的背景があることの説明があった。 制度・政策的に義務化されたことから、平成20年度には97%の大学でFD活動が実施されていたが、これによる問題点として、本来の方向への動機付けの欠如やFD本来の目的・趣旨がピンボケになっているなどの点が提起された。今後は、形骸化・形式化したFD活動を実質化していく必要があり、トップダウン型をどのように超克するか、形骸化の克服、目的・趣旨の理解をどう普及させるか、世代交代をどう進めるかなどの課題が示された。 今後のFDとしては、FDの原点に戻り再定義すること、基点は「学生」と「学習」であること、トップダウンではなくBD(大学理事の管理能力開発)とSD(職員の資質開発)との連携を進めることの提案がなされた。 今後のFD活動には、教員個々人の職務能力の育成強化、集団としての教育力の向上、大学組織全体としての教育力の向上が不可欠である。上下発想から水平視線に変換し、教授者も学習者であり、学生を育てる教員、教員を育てる学生、学生同士の学び合いなど、学習者の復権を目指して取り組んでいくことが不可欠であり、そのためにはFDとSDの連携、FDとBDの連携が重要であるという結論であった。FD・SD合同フォーラム13:00~13:1013:10~13:5513:55~14:1014:10~14:5514:55~15:1015:20~16:1016:10~16:5516:55~17:00プログラム第1部 基調講演第2部 パネルディスカッション ~大学等におけるFD・SD活動への取組み~「FD活動の実質化と大学教育改善」 井下 理氏(慶応義塾大学教授)質疑応答「大学における学生参加とSD」 大場 淳氏(広島大学准教授)質疑応答開会挨拶 吉田浩己(鹿児島大学長)事例報告1.「学生と創るFD活動の事例」 深川和良講師(鹿児島大学教育学部)2.「志學館大学のFD取組事例」 近藤論准教授(志學館大学)3.「Q-LinksのSD取組事例」 田中岳准教授(九州大学教育改革企画支援室)討論閉会挨拶 阿部美紀子(鹿児島大学教育担当理事)閉会挨拶 近藤 論(FD・SD活動推進委員会委員長)鹿児島大学FD報告書日 時場 所8

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