平成22年度 鹿児島大学FD報告書
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(2)本学における学生調査の目的 本学の本調査は、上記の形態でいえば後者に属し、機関独自の問題意識を背景に設計・実施された。本調査の目的は、共通教育段階における鹿大生の学習実態やそこで獲得された学習成果の状況を、学生自身の主観的評価を通して明らかにすることであった。特に、FD委員会が実施組織となっていることから、本調査で得られたデータを踏まえてFD活動の企画・実施を行い、教育改善に関する意思決定を行うのに資するデータを捕捉することを目指した。 FD(Faculty Development)とは文字通り、ファカルティ(教授団)の資質や能力をディベロップ(開発)することであるが、近年FD先進国ではEducational Development(教育開発)という用語も多く使われるようになり、大学教育の改善に向けた取組みを広く網羅するようになっている。そうしたトレンドをみても、全学的にFDを担う組織が広く教育改善に資するデータを収集・整理・分析して、企画や意思決定に活かすことは重要な意味をもつ。このことはもちろん、意思決定のプロセスにおいて、当該機関の組織文化を知悉する個人の経験や皮膚感覚が発揮されることの重要性を否定するものではない。しかし、そうした経験や感覚が独善的にならず十全に機能するためには、もう一方の手でそれらを裏打ちする種々のデータをしっかりと捕捉しておくことが重要である。その意味で、FD委員会が教育活動に関するIR機能を有することは大きな強みにもなり得ると考えている。2.調査実施プロセス(1)WGにおける準備作業 具体的な実施状況は以下のとおりである。 平成22年7月のFD委員会において重点経費の配分が決定され、本調査の実施が了承された。それを受けて、ワーキンググループ(WG)の人選を開始した。メンバーは、FD委員に加え、高等教育研究開発部や外国語教育推進部委員、さらには高大接続担当学長補佐や共通教育係長など広く関係者に依頼した(表1参照)。それと合わせて、グループ内のコミュニケーション・ツールとしてメーリングリストも整備した。実施に係る総合的な調整作業は教育推進係が当たった。 同年9月に第1回WGを開催し、調査票案に関する検討を開始した。10月13日・14日にはWGメンバー3名(杉本・金岡・大園)が、先駆的に学生調査とFD活動とのリンケージに取り組んできた島根大学教育開発センターに対する訪問調査を実施した。同センターの山田剛史准教授から同大学における取組状況や成果についてヒアリングを行うとともに、本学の調査票案に対する意見交換も行った。 調査票は大きく、「基本情報(学籍番号を含む回答者の属性)」「学習行動に関する質問」「学習成果に関する質問」「学習環境に関する質問」「正課外活動に関する質問」で編成し、それを構成する質問項目については、WGやメーリングリストでの議論、FD委員会での議論を踏まえて修正を加えていった。最終的には、12月開催のFD委員会において、調査票の内容及び平成23年1月の実施に関して了承がなされ、晴れて実施の運びとなった。杉本 和弘 教育センター(FD委員、高等教育研究開発部会委員)溝口 和宏 教育学部(FD委員)金岡 正夫 教育センター外国語教育推進部(外国語教育推進部会委員)加藤 龍蔵 工学部(高等教育研究開発部会委員)浅野 敏之 高大接続担当学長補佐吉村 学 教務課共通教育係大園 豊美代 教務課教育推進係表1 本調査ワーキンググループ(平成22年度)氏 名 所 属鹿児島大学FD報告書20

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