平成22年度 鹿児島大学FD報告書
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(2)実施状況 本調査の実施状況は表2のとおりである。回答率は水産学部が60%台でやや低かったものの、調査期間を平成23年2月まで延期したこともあり、全体ではほぼ80%が達成されて十分なサンプル数を確保することができた。技術的には、2年生後期はほとんどの学部で専門教育が始まっており、クラス単位で行われる1年次の英語のような授業がないため回収に困難が予想されたが、結果的には高率の回答率となった。 こうして高率が達成し得た背景として、FD委員長でもある教育担当理事からの、いい意味でのトップダウンが機能したこと、調査票の配布・回収を担われた各学部のFD委員や学生係の尽力が得られたこと、調査票の分量がA3見開き2ページで、学生の作業負担が比較的軽量だったことなどが複合的に奏功したと考えられる。そうした側面から見れば、本調査の実施システムは成功事例といえ、今後、全学横断的に教育改善の取組みを進める上での一つのグッド・プラクティスとしても位置付けることのできる取組みとなったといえる。 他方で、平成22年度は本調査の設計・実施が中心作業となり、調査結果の整理・分析・広報、さらに調査結果を踏まえた教育改善の取組みまでは至らなかった。これらは23年度以降に実質化する方向で進めている。3.今後の課題 本調査は、鹿児島大学が提供する大学教育の質保証を進める上で重要なツールとなり得る可能性を有している。しかしその真価は、本調査から得られたデータを「いかに活用して実質的な教育改善につなげられるか」という点にかかっている。今後、以下の課題に対処していくことが必要だと考えている。 第一に、すでに述べたとおり、本調査結果の分析を進めることである。その際、入試形態やGPAといった他の教務データとのリンケージを行い、学生の学習状況に関するより深い理解につなげることが必要であろう。その上で、分析結果を教育改善における実際の活動に活用することである。前述の通り、本調査は冒頭に学籍番号の記入欄を設けており、他のデータとリンクさせることが可能な設計となっている。この利点を十分に活かすことが求められる。 第二に、本学における本調査の循環的・継続的実施に向けた体制強化である。そのためにも、調査の有用性に関する学内の認知を得ることが今後の課題である。さらに、学生や父兄を含めた学内関係者に広報していくこと、教職員が共通のデータをめぐって議論し協働し合う環境を醸成していくことが必要となろう。そのなかで、執行部企画評価機能といかにリンクしていくかということも課題になってくると考えられる。 第三に、将来的には学士課程教育全体を視野に収めた学生調査を設計していくことが重要である。今次調査の達成目標は、共通教育段階までの入学後約2年間の学習状況・学習成果を明らかにすることに限定した。今後は、他の教育段階も含み込んだ調査(新入生調査、卒業生調査、卒後調査)を設計・実施し、学士課程教育の入口から出口までの学びの伸びを明らかにできる総合的な調査にしていくことが求められるだろう。 325 / 410 79.3% 220 / 288 76.4% 138 / 187 73.8% 194 / 214 90.7% 51 / 54 94.4% 321 / 398 80.7% 202 / 245 82.4% 93 / 140 66.4% 1544 / 1936 79.8%表2 本調査の実施状況法文学部教育学部理学部医学部歯学部工学部農学部水産学部合計学部 有効回答者数/2年生(H21年度入学) 有効回答率学 部21

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