平成23年度 鹿児島大学 FD報告書
27/45

25 図4に授業形態による知識や能力の獲得状況を示す。図3に示す様に、学習内容を理解するための予習・復習がほぼ機能していない状況では、学生は授業に出席するだけで内容がほぼ理解できる授業形態を求めている可能性が高い。一方、FD活動により教員側の意識は変化しているとはいえ、教科書や資料を用いて学生に講義内容を教授する座学スタイルの講義が基本と考える教員は依然として多い。したがって、教員による一方向的な授業をほとんどの学生は経験している。しかし、この授業形態から知識・能力を獲得したと積極的に評価する学生は約15%にとどまっており、他の授業形態と比べると評価が低い。一方、実験・調査中心の体験型の授業では、約半数の学生が知識・能力の獲得につながったと感じている。したがって、学生にとっては未知で抽象的な内容を抽象的に教えるというのではなく、学生にとっては未知なものでも、具体的な体験などをとおして具体的に教えるなどの工夫が必要なことが分かる。 図5に大学教育で培った能力に関する質問の回答結果を示す。特に、情報収集・分析能力や、異なる考え方・価値観に対する理解力が高まったとする回答が多くみられた。全般的に変化を実感していない能力が多いものの、能力が落ちたと評価する学生より、伸びたと評価する学生の方が多い。ただし、どちらともいえないと回答した学生が最も多いので、このように回答した学生のより多くが「伸びた」と回答できるような効果的な教育改善・改革が必要である。とても役に立った少し役に立ったあまり役に立たなかった全く役に立たなかった問5:②受講した授業形態による知識や能力の獲得(①において「受講した」と回答した場合のみ対象)教員による一方向の講義が中心の授業(N=1463)ディスカッションを取り入れた双方向型の授業(N=822)受講生による発表が中心の授業(N=498)グループワークが多い授業(N=793)実習・実験・調査が中心の授業(N=741)練習や問題を解く作業が多い授業(N=825)宿題が多く出される授業(N=877)PCやMoodleを利用する授業(N=1275)0204060100(%)8014.860.020.632.333.333.348.033.926.027.857.554.015.414.154.69.945.46.155.69.252.811.756.610.04.61.12.21.90.51.62.42.8図4:授業形態による知識や能力の獲得伸びたどちらともいえない落ちた問7:①入学時点と比べて変化した能力文章を読んだり書いたりする力(N=1524)人前で自分の意見・考えを発表する力(N=1525)外国語を読み・書き・話し・聴く力(N=1527)情報を収集・分析して活用する力(N=1524)異なる考え方・価値観を理解する力(N=1526)物事を論理的・多面的に考える力(N=1523)物事を数量的に分析して考える力(N=1520)問題を発見・分析して解決する力(N=1526)他者と協調して目標を実現する力(N=1525)社会規範に従って行動する力(N=1522)自ら進んで新しいことに挑戦する力(N=1525)複数の人をまとめて作業を行う力(N=1525)自主的・自律的に学ぼうとする力(N=1526)図5:共通教育で入学時点と比べて変化した能力020406080100(%)27.158.757.114.25.736.83.95.96.14.17.06.68.811.82.54.142.447.144.658.367.565.760.069.967.074.560.037.220.849.052.937.620.728.433.926.026.018.931.2

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です