平成23年度 鹿児島大学 FD報告書
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29 徳永先生は、「発達障害のある学生の困難さと支援のとらえ方」のイメージ図として、グラウンドで野球をしている子供たちのイラストを示され、通常の学生は通常のきれいなグラウンドで野球を楽しんでいるが、発達障害のある学生の周りには、大小様々の大きさの岩がゴロゴロころがっていて、野球ができず途方に暮れている子供の姿が描かれていた。彼らの行動を困難にしているこのゴロゴロころがっている岩が、我々教員に見えるか?また、その岩を丹念に取り除いてゆけるか? 個々の局面での教員の努力と大学の組織としての体制の整備が必要である。 徳永先生の講演に引き続いて、本学保健管理センター所長の伊地知 信二先生より、「保健管理センターの学生支援体制について」と題する講演があった。近年、保健管理センターの3本柱の事業のうち、Diversity Managementへの比重が高まり、まさに徳永先生の指摘が鹿児島大学でも大きな課題になってきていることが裏付けられた。学生へのカウンセリング、イベントの企画による学生支援、毎朝学生に電話して登校を促すモーニングコール、アパートへ迎えに行ったり、管理センタースペースでの学習支援、就職支援・コミュニケーションスキルアップのための面接対策の指導、学生のピアサポートによるレポート作成支援の試行、等々、数々の取り組みをされていることが紹介された。 筆者の学科でも毎年のように問題を抱えて苦しむ学生さんが在籍し、保健管理センターの先生方やスタッフのみなさんには、本当にお世話になっている現状であり、教員がどのように対処したら良いかを専門的な立場から助言していただけるのは、当該の学生さんにはもちろんのこと、我々教員にも対応の拠り所になっている本当にありがたい存在であると感じている。その仕事の大変さは想像に難くないところであり、やはり大学の組織的なさらなる体制作りが急務と考えられた。⑵プログラム後半の「共通教育の履修について(新入生オリエンテーション説明内容)」について 休息を挟んで、後半は、新入生担当教員向けに、この4月から入学する新入生に対する共通教育の履修およびネットによる履修申請の方法などの説明が行われた。中島 あや子教育センター共通教育企画実施部長から、挨拶と概要の説明の後、共通教育係の職員からの資料と実際のネット入力を用いた説明が行われた。複雑な内容を、分かりやすく説明されていた。その後、質疑応答の時間が取られ、新入生担当教員からの具体的な質問や指摘があった。すべてのプログラムの終了後、最後に、門 久義教育センター長より締めくくりの挨拶があり、ほぼ予定どおりに閉会した。3. まとめ 今回の「平成23年度 教育・学生支援担当教職員講習会(新入生オリエンテーション説明者講習会)」では、近年その傾向が著しい「学生の多様化」に対応しなければならない大学において、具体的な課題としての「発達障害とその支援」について、その理解を深める良いきっかけが提供されたと思われる。また、後半部では、本学の新入生に対する履修説明のポイントが集約的に解説され、意義のある講習会であったと思われた。

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