平成24年度 FD報告書
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111.激しく変化する社会における大学の機能の再構築2.大学のガバナンスの充実・強化であり、その人材育成の方法として、主体的学修を促す方法(双方向授業・教室外学習)や学修時間確保(1単位=45時間・予習復習時間確保の徹底)が挙げられた。さらに、質的転換に向けての課題として「プログラムとしての学士課程教育への転換」「学修支援環境の整備」「高大接続」「社会と大学の接続の改善」が示され、特に前二者がFDとの関連が予想されるものとして、またこれら教育改革を遂行するためのFDの支援的役割として「研修を通じての意識の共有」「カリキュラム開発」「学修時間の増加・確保策の検討」が指摘された。 今後のFDの方向性として、組織レベルで実施される個々の教員の教育力開発につながる授業アンケートや授業参観・検討会、各種研修が例示され、加えて「教育改革の手段としてのFD」「大学『教育』そのものの再考」「自らの経験を越えることをいとわない覚悟」なども示された。3点目の自らの経験を越えることをいとわない覚悟が必要(面倒くさいことでもやらざるを得ない)なことについて、ではどうすればよいか? 「教授」しない/教えることを控える 教室の主役を学生に明け渡す 正解のない問いを恐れない 予習/復習素材を自分で見つけ出させる(計画的な手抜き?)などが挙げられた。 その後、冒頭の趣旨説明及び問題提起を行った伊藤先生と事例報告を行った3名の先生方をパネリストにして行われたディスカッションの質疑応答を以下に要約する。 まず、事例報告でなされた農学部森林科学コースの取り組みについて、阿部理事から「学科全体で行われている取り組みなのかどうか」という確認の質疑がなされ、畑先生から「独立していた2講座が森林科学コースという一つのコースを構成して行っているものであり、学科全体ではない。」との回答がなされた。 次に、フロアから「教員の問題であるとかもっと広範囲の問題であるなど、事例報告の中で様々な見解が聞かれたが、そもそも『FD』のテリトリーとはどういう範囲なのか?」という質疑が出された。これに対し、近藤:何かを伝えたいという教員の行動全てという意味で「何でもあり」だと考える。伊藤:議論をしながらそれぞれの組織・シチュエーションで合意を形成していくべきもので形は一つではない。朝日:教員個人の我流ではない教員の教育力育成であると考える。田川:組織の教育理念等に関する意思決定まではFDの範疇ではなく、大学のFDとは組織が何をしたいのかはっきりとさせた上で、それに沿って教育を行っていくもの。畑 :どういう人材を社会に送り出していくかという目的に沿って、組織として行う教育活動。と、ここでも様々な見解が示された。 次に、近藤先生から「学修時間の確保という問題は、特に文系では頭の痛い問題であるが、どうやって確保させていくのか。」という問題が提起された。これは特に講義外の学生による自主的な学修時間を確保するにはどうするか、という意味合いが強いものであった。それに対し、畑 :JABEEではコンタクトタイム、つまり教員との学修時間を対象としており、予習・復習は問題としていない。あとは、卒論研究などによって評価することになる。田川:医学教育は特殊な例になるとの前提のもと、自主学習を促すには時間割を詰め込みすぎないなどの対策が考えられるが、現実的には予習復習の状況は把握していない。また、医学部にはモジュールやユニットといった、コマ数にとらわれないカリキュラムもある。朝日:具体的には手をつけていない問題ではあるので個人的な見解ではあるが、現在は学生の経済状態の問題などもあり、講義外学修が難しい側面もあるため、制度として縛るのはどうかと思う。伊藤:鹿児島大学としての取り組みとしては特にはないが、個人としては宿題を課している。  ただし、大量のものではなく、関連する内容で、やっておかないと次の講義に影響するようなものにしている。

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