平成25年度 鹿児島大学 FD報告書
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30鹿児島大学FD報告書4. 展開研究~「進取の精神」をもった学生を育てるために~ 本年度調査報告では、鹿児島大学では「進取の気風」を育てることを全学の教育目標の1つとして掲げていることから、「展開研究」として、【問7】で「自ら進んで新しいことに挑戦する力」が伸びたと回答した学生を「進取の精神」をもった学生と想定して、その学生が他の質問にどのような回答をし、それが他の学生とどのような違いがあるのかを調査した。その分析によって、「進取の精神」をもった学生を育てるには、どのような教育改善が必要であるかを検討しようとした。 その結果、このような「進取の精神」をもった学生には以下の傾向があることがわかった。(1)「鹿大生であることに誇りを感じている」比率が高く、参加した数は少数であるがボランティア活動への関心等も高い。反面、「自己の将来に対して不安がある」とする比率が低い。(2)「ディスカッションを取り入れた双方向型の授業」「少人数クラスでの議論」等の工夫された授業形態を受講した割合が高く、「とても役に立った」「役に立った」とする積極的な受け止めがみられる。(3)「共通教育の授業をとおして身についた知識・技能・態度」をみても、すべての項目で「十分に身についた」「身についた」と自己評価している割合が高く、鹿児島大学に対しての満足度も他の学生に比べて高い。(4)学生が、共通教育において一方的な講義型ではなくていろいろな工夫がなされた授業に接して、学習意欲を一層かきたてられて、実際に各種の授業形態に取り組み、授業に対する自己満足度も高く、「自ら進んで新しいことに挑戦する力」が伸びたと感じている。 こうした調査結果から、鹿児島大学としては、学生が主体的に授業に参加する工夫がなされた授業を増やすこと、双方向や議論などを含む授業の受講を勧めていくこと、主体的に授業に取り組ませることによって、学生自ら自分の能力が高まったという自信・自覚を強めていくこと、さらに海外留学、ボランティア活動への参加などを促していくこと等が、「進取の精神」をもった学生の育成につながっていくのではないだろうか。5. 3年間の調査結果の総合分析 2010~2012年と3年間かけて、共通教育の学習実態・学習成果の調査を行ったので、その3年間の調査結果から浮かび上がった鹿大生の学習実態の主な特徴を以下のようにまとめた。■ 基本事項 鹿児島大学に入学した学生は、高校での成績は「中の上」以上だった学生が過半数を超え、入学前の一日の学習時間も3時間以上が67%~69%を占めているが、学習時間が1時間未満の、学習習慣が十分に身につかないまま、大学に入学した学生も10%~12%いる。■ 日頃の行動 91%~92%の学生は授業へはきちんと出席している。クラブ・サークル活動に積極的に参加している学生は53%~56%、アルバイトに力をいれている学生は57%~58%である。ボランティア活動への参加は14%~15%と総じて少ない。■ 習慣・関心 社会の動きに関心があるとする学生は51%~57%であまり積極的とはいえず、新聞は16%~20%の学生しか読んでいない。読書も半数はさほどの関心をもっていない。自分の健康には留意していることがうかがえる。

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