平成25年度 鹿児島大学 FD報告書
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36鹿児島大学FD報告書6. 学習実態.学習成果に関する調査 平成25年度には、高等教育研究開発部会委員2名が参加したFD委員会のFDガイド、実態調査WGで「鹿児島大学共通教育における学習実態・学習成果に関する調査2012年度調査報告」が作成され、平成25年12月に発行された。本調査は3年間かけて鹿児島大学の2年生を対象に行われた調査の最終年度版である。調査対象者の67%にあたる、1431人が有効回答者となった。 本報告書の作成において高等教育研究開発部会委員から「『自ら進んで新しいことに挑戦する力』が伸びたと回答した学生が、他の質問にどのような回答をしているか分析してはどうか?」という提案があり、実施された。その調査結果から「鹿児島大学としては、学生が主体的に授業に参加する工夫がなされた授業を増やすこと、双方向や議論などを含む授業の受講を勧めていくこと、主体的に授業に取り組ませることによって、学生自ら自分の能力が高まったという自信・自覚を強めていくこと、さらに海外留学、ボランティア活動への参加などを促していくこと等が、「進取の精神」を持った学生の育成につながっていくのではないだろうか(前述の報告書抜粋)」という結論を導くことができた。本報告書の内容は、高等教育研究開発部会でも報告された。7. 教学IRシステム 教学IRシステムについては高等教育研究開発部専任教員が中心になって教育担当理事の諮問機関であるIRコンソーシアムWGで検討されると共に、教育改革室等でも諮られた。種々の議論を行った結果、平成24年に入会した大学IRコンソーシアムによるアンケート結果の分析を、平成26年度からは高等教育研究開発部が担当することになった。 平成24年度に試行的に実施した鹿児島大学1年生200人に対するアンケート調査結果の予備的な分析からは、鹿児島大学の学生は「取りたい授業を履修登録できなかった」経験が「ひんぱんにあった」り「ときどきあった」学生の割合が、他大学と比較して多いことが明らかになった。今後は、5節で述べた学習実態・学習成果に関する調査との比較に留意すると共に、特定他大学との詳細な比較や、大学IRコンソーシアムで重視されている英語学習に関するデータ分析等を、他組織と連携しながら進めていきたい。8. 共通教育新カリキュラムの評価検証 平成25年度からの共通教育改革に伴い鹿児島大学の共通教育は新カリキュラムに移行した。本部会では新カリキュラムの評価検証を、教育センター共通教育企画実施部等と連携しながら行った。 本年度の評価検証においては、まず、旧カリキュラムから新カリキュラムへの移行がスムースに行われたか、問題は生じていないかを中心に行った。新カリキュラムにおいては、共通教育選択科目(旧教養科目)をa.実践・判断・精神力、b.知力(人文・社会科学)c.知力(自然科学)の3大分類に分け、学生は卒業のためにそれぞれ4または6単位以上取得するように定めている。また、留学生も多くの学部では日本人学生と同様に大分類ごとに4または6単位を取得しなければならない。旧カリキュラムの教養科目分類が5分野(分野1(思想と文化)、分野2(社会と歴史)、分野3(人・生命・環境)、分野4(自然と数理)、分野5(科学・技術と応用)に分かれる)及び人間教育科目と導入教育科目に分かれていたのに比較すると、新カリキュラムはシンプルで分かり易くなっている。一方で旧カリキュラムでは、理系科目と文系科目が併存する分野3や分野4から受講科目を選ぶことによって、学部での自分の専門分野に近い教養科目を多く取ることによって卒業単位を取得する学生もいたようであり、新カリキュラムへの移行に伴い幅広い科目を名目上ではなく、実際に取らなければならないことに伴う不安も聞かれた。平成24年度における教育センター会議等でも、専門外の学生でも理解しやすい単位を増やす必要がある等の議論があったのである。また、従来は外国人留学生の場合、教養科目は分野に関わらず、単位数だけ決められたとおりにそろえれば良かったが、前述したとおり、新カリキュラムでは多くの学部・学科で日本人学生と同様の幅広い分野での単位取得が求められる。

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