鹿児島大学FD報告書(平成26年度)
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13  フォーラム後半は会場を変え、事例報告とグループ・ディスカッションが行われた。  事例報告は、鹿児島大学理工学研究科の岡村浩昭氏から理系科目での実践について、同大教育学部の廣瀬真琴氏から文系科目での実践について報告が行われた。岡村氏からは、高校から大学への導入的な位置付けの理系科目においては学習内容が非常に多いため質疑応答等の活動を行う余裕がないこと、学習者の知識のレベル差が大きい場合には学生からの積極的な発言や質問を引き出すのが難しいことなどが指摘された。そうした中でも、小テストの採点を学生同士で行わせる、予習・復習課題を明示してレポートを作成させるなどの工夫をしているとの報告があった。  廣瀬氏からは、協同学習の理論に基づく実践例が報告された。学生の主体性を高めるために、正解がなく、協同が必要な難易度の課題を設定することや課題探究の過程では役割分担によって責任をもたせること、思考・判断を伴う表現活動を組み入れることなどが要点として挙げられた。また、教員側の注意点としては、教え過ぎないこと、活動の内容や過程を記録できるようにして省察や修正を行う機会を提供することなどが挙げられた。  その後のグループ・ディスカッションは、鹿児島大学教育学部の有倉巳幸氏の司会進行に基づき、フォースフィールド分析という手法を用いて行われた。フォーラムのテーマである「アクティブ・ラーニングを大学教育に定着させるためには」に関してその推進力と抵抗力を可視化し、それぞれの具体的な対応策を見出してグループ内で共有し、今後の教育改善につなげることを意図した活動である。  グループ活動においては様々な推進力と抵抗力の例が挙げられ、どのグループでも活発な意見が交わされた。抵抗力の中には、授業以外の業務の多さなども見られ、より良い教育の実現のためには教職員の業務全体を見直す必要性もあることが示唆された。また、授業内容や方法の変更に対する抵抗感や新たな教授法に関する情報不足などの問題も指摘され、アクティブ・ラーニングの実現に向けた教員の支援体制整備の必要性も指摘された。(文責:教育センター高等教育研究開発部 伊藤 奈賀子)3.事例報告およびグループ・ディスカッション

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