鹿児島大学FD報告書(平成26年度)
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38鹿児島大学FD報告書(2)個々の学生に対応した試み・工夫 通常、講義であると1対1の対応が難しい。この困難を克服する試みに、「毎回学生のライティングを添削し、コメントを付け返却することで個々の改善を図る。」、「クリップボードに小さな紙を挟んで巡回し、個別の対応の折に、その小さな紙に走り書きメモ、ポイントなどを手短に書いて渡すなど、個々の学生のかかえる問題点に対応した」、「テキストの練習問題は毎週自宅学習をさせ、回答を配布して自己採点をして提出させている。自宅学習で理解できなかった点はEメールまたは授業後に尋ねるようにさせている。」、「受講生全員に対し、Moodleを通じ、各講義に対し、ミニッツレポート(約500字)及び、復習確認の2種類のレポートの提出義務を課す。ミニッツレポートに関しては、各人のレポートに対し、担当教員からのコメント(100字から500字程度内容によって異なる)をつけ、全てのレポート(名前は削除)と担当教員のコメントを、Moodleを通じて受講者全員が閲覧できるようにしている。更に、レポートを読んで、各人へのコメントの中に示したキーワードを提出させている(復習確認)。」、「講義中に記入させるシャトルカードで、次回の講義時間にピックアップした意見紹介や質問への回答などを行うことにより、意見の共有や自己の思考の発展など、受講学生の満足感にもつながっていたようである。」、「ミニッツペーパーを取り入れ、講義で大切だと思ったことや質問を記入させており、共通するような大事な質問については、次回の講義の最初に答えるようにしている。」との報告があり、教員への負荷が生じる。 教員の過度な負荷が生じない手順とした工夫には、「3名ずつのグループを作り、テーマについての情報交換、また相互の進捗状況の確認やレポートのチェックなどをディスカッションの形でさせている。」との事例もある。 Eメールを用いた質問の受付を明記した報告も幾つかあったが、学生が質問させる雰囲気を作ることの方が難しそうである。 授業時間内の個々への対応では、「毎回、黒板に答えを書かせ、学生の文章を添削した。また、何パターンか解答が考えられる場合には、そのバリエーションも提示した。」がある。しかし、ここまでが限度のようである。 面白い工夫としては、「期末試験の際に手書きのノートもしくはメモについて持ち込み可としている。試験対策になるようノートやメモを作成することが授業の振り返りにつながれば良いと考えている。」があり、コピペ世代やコピー機が安価で利用できる現状では、勉強させるのに良い手かもしれない。(3)授業をコントロールする試み・工夫  授業の進行に関する試みとしては、「活動する時間を多くできるように、ペアワーク、グループワークなどを取り入れた。」、「1回の授業に新しい学習項目を2つまで抑える等、進度のコントロールをする。」、「効率を上げるために、単語等の解説は前もって配布したプリントにて板書の代用をしている。」、「情報端末室にてMoodleを使い、授業を行った。また、グループによる発表やプレゼンの機会も多く与え、知識の蓄積のみに終止することがないように授業を行った。」、「教科書と連動したe-learning教材を課題として毎週行わせた。」等がある。面白い試みとして、「毎時間前回の授業の理解度をはかるための小テストを実施し、授業時間内にTAが採点、授業の終わりには返却している。」があり、学習効果が高いように思われるが、その分TAの負担が増す。 (4)その他 科研に関連する以下の記載があった。●カリキュラム理論では、社会構築主義、それと連動し、英語教授法では、communicative approachの時代からmultiple literacy へとグローバル化により、急速にシフトしている。 科研との関係もあり、この領域の理論・実践面の検証と実践を積み上げている。●科研(前回採択=大学英語カリキュラムの評価方法の確立関連)(今回=アクティブ・ラーニング介入による自律学習構築へのカリキュラムデザインのあり方)と照応しながら、授業改革に従事。 協同学習と教員の支援scaoldingについて、より精緻なアプローチを構築し、授業実践に応用し、検証している。

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