鹿児島大学FD報告書(平成26年度)
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教育目標、3ポリシーの理解と普及 部局(研究科、学部・学科)レベルの教育目標および3ポリシーを、教職員に理解させるための取組を各部局で行う。これらは抽象的な用語で説明されているので、具体的な行動指針として周知させていく必要がある。到達目標としての3ポリシー 教育目標および3ポリシーは、現時点での各研究科、各学部・学科の到達目標となっているはずである。整合性を高めるためには、現行のカリキュラムやシラバス、教育活動の現状について精査する必要がある。何がどの程度、3ポリシーと整合しているのか、場合によっては、教育目標や3ポリシーを見直すことや、教育活動改善のために学科やコースの再編(改組)も必要となる。カリキュラムの一貫性と系統性 大学はこれまで、個々の教員の専門性に基づき授業が実施され、カリキュラムの一貫性と系統性は、資格や免許に必要な科目においてでさえ、低いものであった。部局レベルのFDにおいては、教員の専門性に基づいた科目を提供するのではなく、3ポリシーと整合性のあるカリキュラムを構成し、そのカリキュラムに必要な専門科目を開講するよう、教員の意識改革を進め、教員相互のコミュニケーションを図り検討していく必要がある。教員の責務 最後に、教員レベルのFDであるが、これは、狭義のFDであり、個々の教員の授業改善の取組を指す。各教員が担当している授業の目標やシラバスの検討を行い、学生理解・支援、授業内容、授業方法、教育評価、カリキュラム開発・改善に関する知識・技能を高めることを目指すと考えた。このレベルのFDを実現していくためには、次の4つに着眼していくことが求められよう。「教える(teaching)」から「学ぶ(learning)」へ 教員が学生に知識や技術を一方的に教えるという関わりから脱却し、学生の学びを教員が支援するという関わりへと変わることが大切である。そうした関わりを通して、学生の主体的、能動的な学習(アクティブ・ラーニング)を保障できる。学生の学びや実態を理解する視点 「大学教員は学生の学びを学ぶことによって教授法を改善できる(Ramsden,2003)」の考えに立てば、学生がどのような学びや学び方をしているかを理解することが大切である。加えて、学び以外の学生の実態や心理を学ぶことで、適切な関わり方を知る上での手がかりとなる。教授法を学ぶこと 大学教員は教授する専門的内容については、非常に豊かな知識や技術を有しているが、それをどのように学生に伝え、学びを促進させるかといった教授法を知らない。かなりの部分、教授法に対する教員個々の関心の程度に左右されているのが現状である。多様な研究分野、多様な他者、多様な価値観への関心 ある分野の専門性を極め、アイデンティティをもつことは、一方で、多様性を認めず、類似した他者との関わりを志向し、特定の価値観に与する危険性を併せ持っている。開かれたコミュニケーションに対する関心や能力を高めることが、教員レベルのFDにおいて求められる。 以上、FDにおける3つの階層について、それぞれの内容と着眼点を整理した。今後、本指針が絵に描いた餅にならないように、各階層レベルで着実にFDを実現していくことが求められよう。(文責:教育担当学長補佐 有倉 巳幸)7

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