鹿児島大学FD報告書平成31年度
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194.グループディスカッショングループ・ディスカッションは、主に3つの点について検討を行った。① 学生調査を教育改善のツールとして本学に根付かせるにはどうしたらいいか② 学生調査の回答率を上げるための効果的な方法とはどのようなものか③ 学生調査の結果を踏まえ、鹿児島大学において必要な改善策とはどのようなものか この3つの点について、学生・教員・職員が混在するグループにおいて話し合った。その際、互いを尊重して対等な立場で話し合うこと、前向きな発言を心がけること、発言はコンパクトにまとめて他者の発言を遮らないことという3点をグラウンドルールとした。どのグループにおいても活発な意見交換が行われており、特に、学生の発言を丁寧に受け止めて議論を展開しようとする教員の態度が印象的であった。 話し合いの成果については、最後に全てのグループが発表を行った。いくつかのグループに共通して課題として指摘されたのは、回答する学生に調査の意義が充分理解されていないという点と、回答してもその後のフィードバックがなされていないという点であった。調査の意義については、回答を依頼する際に教員が説明を行う必要性が述べられた。その際、マニュアルを作成するなどして説明内容にばらつきが出ないようにするなどの配慮が必要であることも指摘された。現在、大学IRコンソーシアム・アンケートの1年生調査は「初年次セミナーⅡ」の授業時間を用いて行っており、学生に対して回答を依頼する際の文書を配布している。しかし、教員に対して充分説明を依頼しているとはいえず、その意味を説明している者もいればそうでない者もいるというのが実情と推測される。こうしたばらつきをどのように防ぐかは喫緊の課題である。 回答に対するフィードバックについては、昨年度から報告書を学内限定でweb掲載することにしたものの、報告書は分量も多く、学生の目に触れされるのは容易でない。しかし、学生の立場からすれば、自分たちの回答がその後何にどう活かされたのかが全く分からないでは、回答する意義を見出すのは難しい去の回答の変遷や学生が興味を持ちそうな結果の報告を添えるなどの具体案が提示された。結果の全てを学生に示すことは難しいとしても、結果を踏まえて行った改善点などを積極的に明らかにしていくことは、回答率上昇という観点からも重要だと思われる。他にも、調査そのものが種類・回数が多いことから、質問項目の重複を是正することや学部・学科に対して具体的に注目すべき結果を指摘して検討を依頼する、調査結果を授業で活用して学生自身も教育改善のプロセスに参加できるようにするなどの提案があった。また、回答率を上げるには、何らかの形で回答に強制力を持たせることも必要ではないかとの指摘もあった。いずれも非常に貴重な意見であり、学生調査の結果だけでなく、この場で示されたこうした意見についても今後の教育改善に活かしていきたい。(文責:伊藤 奈賀子)

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