鹿児島大学FD報告書平成31年度
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254.グループ活動この後、3,4人からなるグループに分かれ、以下の手順で活動を行った。① 研究活動に関して問題であると考えられる具体的な行動を各自挙げる。② グループ内で共有し、その性質に応じて分類する(捏造、研究費の不正使用など)。③ 分類を踏まえ、そのような問題行動を防止するための方法を検討する。④ 具体的な問題状況に基づき、問題の根幹とは何か、このような状況に立った場合どのようにすればよいか、等について検討する。 活動を行うに当たり、特に重視したのは以下の2点である。 第1に、研究倫理の多様さ・曖昧さである。研究倫理については分野ごとの違いも多々あり、一律に〇か×かと判断できるものではない。ある分野の者にとってはごく当然の行動が、別の分野の者にとっては受け入れがたいという場合もあり得る。もちろん、捏造や改竄など、分野共通に理解される問題行動も存在している。しかし、そのような問題だけではないため、研究倫理についても非常に多様であることを理解しておく必要がある。 第2に、研究倫理については常に最新の情報を適切なソースから入手しなければならないということである。ルールは変わり得るものであり、ある時点までは認められていたことがある時点から罰則の対象となる場合もある。また、大学院生や大学教員の場合、今回のようなワークショップや研修会、eラーニングなどによる学習の機会が提供はされるものの、研究倫理に関するあらゆる情報、あるいは自身が専門とする分野に関する詳細な情報が提供されるわけではない。このため、適切な情報を自ら入手すべく行動しなければならない。 本企画もまた研究倫理に関するありとあらゆる領域をカバーできるものではない。大学院生が本企画を契機として研究倫理の複雑さや難しさそのものを理解し、慎重な判断に基づく研究生活を送ることにつながることを祈念している。(文責:伊藤 奈賀子)

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