鹿児島大学FD報告書平成31年度
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31 一方、「地域連携プラットフォーム(仮称)」や国公私立といった設置形態を超える枠組みでの大学等連携推進法人設置についてはまだ具体的には明らかにされていない。しかし、特に前者については、「地(知)の拠点整備事業(COC事業)」や「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)」において一定の成果を得た大学においては、既にその土台が構築されているともいえる。 教育に関わる面での連携に注目すれば、今回のシンポジウムのテーマともなっている共同教育課程の設置や授業科目の共同開設などが挙げられる。共同教育課程の場合、学生はそれぞれの構成大学において当該共同教育課程が開設した授業科目の単位を一定程度取得する必要がある。 学士課程では31単位以上、修士・博士課程の場合は10単位以上である。これは、基本的に自大学において卒業要件を満たすだけの単位を取得することを前提としつつも、他大学開設授業の単位を一定程度その中に含めることを認める単位互換制度とは明確に異なる。こうした違いは授業科目の共同開設にも共通しており、単位互換が自大学による授業科目開設を基本としているのに対し、共同開設の場合は枠組みに参加する別大学の開設科目を自大学開設科目と同等に扱うことが可能になる。 このような共同の取り組みは、教育資源の有効活用を意図したものである。各教員の強みを生かして役割分担を進めることにより、一層充実した教育活動の実現を目指すものといえる。 大学間連携については、非常に緩やかな連携としての単位互換から、極めて強固な大学統合に至るまで様々な仕組みが存在している。どのような連携のあり方が望ましいかは各大学の置かれた状況や専門分野等の特性、地理的環境等様々な要素によって規定される。国立大学においては第4期中期目標・中期計画の策定が次年度から開始されると予想されることから、その立案に当たってはこうした大学連携のあり方についても十分検討を行う必要があるといえる。講演②:鹿児島大学共同獣医学部のこれまでと現在講師:宮本 篤(鹿児島大学 共同獣医学部 学部長) 鹿児島大学共同獣医学部は平成24年度に開設されたものであり、平成30年にはこれに続くものとして大学院共同獣医学研究科も開設している。 共同教育課程設置に至った背景には、卒業要件単位数に対して教員数が少ない状況の中で重要性が高まる獣医学教育を行うにはこれが最善の方法であるとの認識があった。獣医学と同じく6年制の課程である医学部の場合、卒業要件単位については獣医学部と大きな違いはない(医学部:188単位以上、獣医学部:182単位以上)。しかし、入学定員が3~4倍異なるため、教員数には大きな違いがある。自大学が単独でその状況を変えることは極めて困難であり、これが共同教育課程の必要性を生み出した。我が国の国立大学においては、10大学が獣医学の課程を有しており、そのうち8大学が共同教育課程を設置しているのは、こうした背景によるものといえる。 一方、なぜ学部というレベルで共同教育課程を設置したかについては、主に3つの理由があった。第1に、スイスなど海外では学部レベルでの獣医学教育が行われていた。第2に、本学と山口大学、北海道大学と帯広畜産大学は南北それぞれでグループを組んで欧州認証取得を目指すこととしており、獣医学部獣医学科を有する北海道大学と畜産

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