鹿児島大学FD報告書令和3年度
10/25

8(文責:森 裕生)大学への要望・後輩へのメッセージ鹿児島大学FD報告書 しかしながら、不安なまま活動し続けたわけではなく、鮫島さんからは、実習の時間が限られたからこそ、大学での授業でのケーススタディなど、担当教員ができるだけ不安を解消してくれるように取り組んだことなど、授業や教員に対するポジティブなコメントが挙がった。谷川さん・小山さんも、実際のお客さんを迎えたオンラインイベントを開催し、後輩に絶対にインターンシップに行ってほしいと語るほど達成感を得ていた。 不安な中でも、前向きに活動した学生の貴重な経験を伺うことができた。一教員としては、学生の前向きな活動に安堵した面もある。しかしながら、これらの報告は大学として丁寧な支援を怠ってはいけないということの裏返しでもあると言える。コロナ禍の2年間で、大学として「できた支援」「できなかった支援」を整理し、今後の授業デザインや支援を検討していく必要があるだろう。 学生への支援に関しては主に「1年次をほぼ遠隔授業で過ごした学生が2年生になって」と「入学前の1年間がコロナ禍だった学生が鹿児島大学に来て」の回で話を伺った。 仲塚さん・山中さんからは「履修登録、教室の場所など細かいところで分からないことが多かった」という声が挙がった。このような状況であったにも関わらず友人や相談できる相手がいなかったことで「気軽なこと、簡単なことでもすぐに相談相手や窓口がいると良かった」「先輩後輩・友人の繋がりがもっとあると良かった」といった学生目線での支援の必要性も語られた。 榎元さん・嘉村さんからは「学園祭などの大学のイベント、サークル活動を徐々に増やしたり、元に戻したりして欲しい」などの学生生活面での要望も挙げられた。学園祭やサークル活動は、学生時代にしかできない活動でもある。こういった活動を、今後いかに担保するのか検討していく必要があるだろう。 最後に後輩へのメッセージとして「趣味を持って気分転換をしっかりすること(加藤さん)」、「大学のパンフレットをよく読んで検討して欲しい(榎元さん)」など様々なコメントが挙がった。 今回のセミナーは全6回でのべ14名の学生が登壇した。大学の教職員にとっても、学生の活動や思いを知る貴重な機会となった。しかし私達教職員は「知れて良かった」で終わることなく、学生から挙がった要望や支援が必要な点などの声を受け止め、改善していく必要がある。 登壇した学生は、全員が前向きかつ積極的に学習や大学生活に取り組んでいた。一方で、困難を抱えたまま過ごしている学生がいることも事実である。今回、取りあげることができなかった声があることも踏まえて、幅広く丁寧に学生支援の方法やあり方を検討していくべきだろう。 最後に、登壇していただいた学生のみなさん、インタビュアーを務めた日髙先生、登壇した学生の推薦をして頂いた、淺田隼平先生、金子満先生、田中一枝先生、鳥居亨司先生、森田豊子先生に感謝の意を申し上げたい。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る