鹿児島大学FD報告書令和3年度
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10 鹿児島大学に留学を予定している学生や海外留学を希望する学生は、単に鹿児島大学・留学先の大学の授業を受講したり、外国語の習得ができれば良いというわけではないだろう。感染症の拡大は、学生・教職員がコントロールできることではないが、鹿児島やその地でしかできない経験や活動ができるように、状況の改善が期待される。話題提供①:職員の立場から鹿児島大学FD報告書 本企画は、「全員で考えるコロナ禍を経験した未来の大学」と題して実施された。2021年度は、新型コロナウイルス感染症の本格的な流行2年目であった。学生のみならず教職員も慣れが生じ、遠隔による授業や活動が日常にもなってきた。もちろん日常になったからと言って、これまでの活動ができないことによる不安やストレスを抱える学生の支援を蔑ろにすることはできない。学生の学習、生活などの支援は緩めることなく実施し続ける必要がある。 一方で、これまで非日常であった遠隔授業や遠隔での活動が日常となったことを踏まえて、新たな大学や授業などのあり方を考えることはできないだろうか。世界では、MOOCのようなWebを介した授業公開の取り組みは何年も前から行われてきた。また、ミネルバ大学のようなキャンパスを持たない大学が人気を集めており、近年は大学の「あり方」や「意味」が問われている。鹿児島の高等教育機関も「コロナ禍が落ち着けば2019年度以前に戻る」ではなく、コロナ禍の経験を活かした新たな活動や取り組みが求められるだろう。これらの点を踏まえて、2021年度の第1回FD/SD合同フォーラムでは、学生、職員、教員の3つの立場からコロナ禍での活動・経験を共有する情報提供を行ってもらい、参加者全員でコロナ禍を経験した未来の大学のあり方を議論した。 職員の立場として、鹿児島大学 国際事業課の本田課長、黒川係長から情報提供が行われた。コロナ禍における、留学生や留学を希望する学生の状況や対応について情報提供を頂いた。留学生に対しての支援として、入国できなかった学生への教科書・資料提供などの学習支援にとどまらず、フードバンクと連携した食料の支援、待機時の宿泊費用等の補助などの金銭的な支援などの幅広い支援を実施してきたことが報告された。 また、多くの留学希望の学生が叶わずにいるなどの厳しい現状も報告された。未だに海外留学は厳しい状況が続いており、いかにして海外留学の支援や似たような活動をデザインするかは大きな課題であると言える。一方で、海外の大学の授業をオンラインで受講した学生の存在や、海外の大学に所属する教員とオンラインミーティングが開催されるようになったといったコロナ禍の状況だからこそ実現した新たな取り組みも明らかになった。5. 実施報告

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