鹿児島大学FD報告書令和3年度
14/25

12(文責:森 裕生)話題提供③:教員の立場から鹿児島大学FD報告書 教員の立場として、鹿児島大学 教育学研究科所属で、学長補佐(教務担当)の溝口先生より情報提供を頂いた。まず、鹿児島大学全体での遠隔授業・対面授業の割合などのデータをベースに2年間の授業形態の変遷の説明があった。学生からの報告にもあったとおり、2021年度は、対面授業が前年比で倍増するなど徐々に改善しつつある状況が報告された。 また、Zoom(リアルタイム)、manaba・YouTube(オンデマンド)を組み合わせた授業事例の紹介も行われた。教育学部での模擬授業と授業検討会を行う授業を対象に、模擬授業を録画してオンデマンド配信し、授業検討会をリアルタイム配信する方式の授業である。 このような録画やオンデマンド公開のテクノロジーや、反転授業と呼ばれる方式は決して最新の事例というわけではない。一方で、コロナ禍の経験によりツールやテクノロジーの活用が日常になった。冒頭でも述べた通り、教員も学生も遠隔授業で培った知見や活動に対する慣れはコロナ禍の終息後にも活かせる視点ではないかと思われる。 これより「講義室は必要か?」「授業は遠隔か?対面か?ハイブリッドか?」「学びの質をどう保証するか?」といったパネル・ディスカッションへの論点が示された。パネル・ディスカッションでは、溝口先生より提示された論点や会場からの質問を中心に進められた。質問の多くは学生の2名向けであり、コロナ禍での学生の声を聞くことへの関心の高さが伺われた。 昨年度の本フォーラムも同様の形式で実施し、学生・職員・教員の立場から情報提供を受けた。昨年度は、いずれの立場それぞれの困難が生じ、その中にはすでに解決できたものもあればいまだ解決できないものもあり、試行錯誤しながらの活動となったことが報告された。一方で今年度は、本田課長から報告されたような「海外からの遠隔会議参加」が実現するなどの「新たな展開・活動」も報告された。 仲塚さん・山中さんは質疑応答で「遠隔授業と対面授業が選べるならどちらを選ぶか?」という問いに対して両名ともに「対面」を選択すると回答した。これは「鹿児島に高等教育機関がある意味」を学生・職員・教員の全員が改めて一度振り返ることの重要性を示していると言える。その振り返りを通して、鹿児島で学ぶ学生に寄り添った授業や活動、支援をしていく必要があるだろう。

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る