鹿児島大学FD報告書令和3年度
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16森裕生「学習環境中心の学習環境デザインとは?」鹿児島大学FD報告書 情報提供では、鹿児島大学の学生が英語を学ぶモチベーションとして、入試英語の学習が主だったことを踏まえ「英語を読むことに飽きている」「英語学習の到達目標が不明瞭」「英語で話すことの苦手意識」などが挙げられた。これらの問題意識を踏まえて、授業の様子や工夫点などが紹介された。 具体的には「外国語を継続的に学ぶための方略を学ぶ」といった英語の知識にとどまらず語学学習全般と関連付けた目標が設定されていることなどが説明された。例えばリーディングの授業では、学生は受験英語により「回答を書く」ことに慣れているため、回答を書いた後にその英文の内容を忘れてしまう。一方で、英語(語学)を学ぶということは、その文章に何が書かれていて、それを自身がどう解釈したのか?といったことを説明できるようになることが重要である。これを踏まえ、英文のまとめを書く若干負荷の高い予習を課しているということであった。さらに、そのまとめを活用して、学生間の相互説明をする授業デザインについて説明があった。 さらに、学生間での発表時の負担感を減らすために、練習の機会を設けたり、ポジティブフィードバックで学生を褒めたり、先生自身の趣味や失敗談を話しながら「間違っても良いんだ!」「この先生なら何を話しても拾ってくれるな!」という雰囲気作りを重視しているという話が挙げられた。 清水先生、日髙先生の講演を受けて、筆者より「学習者中心の学習環境デザイン」の解説を行った(図3)。清水先生の話題提供にあった「少しジャンプすると届くテーマの設定」は、学生の現状の分析、先輩の取り組みの分析の上に成り立つことや、日髙先生の授業デザインは、学生の「英語学習のモチベーション」を分析された上に成り立つ授業であるなどの解説を行った。このように、学習者中心の学習環境デザインの概要だけでなく、話題提供を頂いた2名の先生の授業デザインに学習者中心の考え方がどのように反映されているかを説明した。図3:講演スライド

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