鹿児島大学FD報告書令和3年度
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7 本本企画は、前年度に引き続き2年目の開催となった。前年度は、遠隔授業アンケートにおいて「良かった授業とその理由」に挙がった教員から、特に高い評価を得ていた教員10名が講演を行った。そこでは教員としていかに遠隔授業に取り組んだり、工夫したりしたのかについて情報提供を行った。 コロナ禍の遠隔授業では教員の苦労も当然多かった。一方で、それ以上に学生の苦労やストレス、悩みも多かっただろう。この点に着目し、2021年度のFD連続セミナーでは、学生が登壇し、それぞれの立場でどのように遠隔授業やコロナ禍の活動を行ったのか情報提供を行う形式とした。 登壇した学生とテーマは「2.実施日程」に示すとおりである。1年生から大学院生まで、幅広い層、活動に携わってきた学生の協力を得た。また、登壇者が学生であることを踏まえ、認知的負荷を減らすためインタビュー形式で「活動」や「思い」を語ってもらった。インタビュアーは社会学の研究者であり、インタビュー調査の経験が豊富な日髙優介先生(高等教育研究開発センター)が務めた。 コロナ禍で学生の様々な活動に影響が及んだことは、多くの方が知る通りである。学習面だけでなく生活面までの学生生活そのものもが大きく変わった。一方で、本セミナーではコロナ禍だからこそ取り組んだことや、視点を変えて新たな活動を始めたことなども語られた。また、それらを踏まえた大学への要望や後輩へのメッセージも語られた。 これより本報告書では、(1)コロナ禍での工夫・新たな活動、(2)コロナ禍の不安といかに向き合ったか、(3)大学への要望・後輩へのメッセージの3点を中心に整理する。 中村さん(「コロナ禍の留学・国際交流関係」に登壇)は、フィリピン・セブ島での語学研修中に新型コロナウイルス感染症が広がり、緊急帰国を余儀なくされた。その後は、情勢を踏まえて国内での活動となった。その中で、中村さんは西オーストラリア大学の学生と共同でオンラインゼミを立ち上げ、国内でも可能な範囲で学習や交流を続けた。 また、阪上さん(「大学院生の研究活動」に登壇)は、社会人として活躍する中で予てから大学院への進学を勧められていたが、業務との兼ね合いで実現していなかった。しかし、コロナ禍の影響で、遠隔授業が中心となった状況を踏まえ「これなら自宅・会社でもある程度は受講ができる」と入学を決意したとのことであった。 コロナ禍では、遠隔授業や遠隔でのコミュニケーションを支える「ツール」や「遠隔授業」そのものが当たり前となった。これらのツールや制度をうまく活用し新たな活動にチャンレンジしたことが報告された。 他にも「就職活動を終えて」の回では、遠隔面接について「画面の前にメモを用意できたのでむしろ余裕ができた(堤さん)」や「面接員に顔がはっきり映るからこそ画面映りがよくなるような工夫をした(米倉さん)」といった工夫の声が上がった。このように、コロナ禍の遠隔面接という初めての状況でも、それぞれ工夫しながら、また、その状況を逆手に取って活動を行ったことが報告された。 ここまでは、コロナ禍での工夫やチャレンジについて整理した。一方で、当然ながらコロナ禍の不安も語られた。鮫島さん(「コロナ禍のインターンシップ・実習」に登壇)からは、実際の病院での実習時間が限定されたことの不安、谷川さん・小山さん(「コロナ禍のインターンシップ・実習」に登壇)からは、遠隔でのインターンシップやイベント企画がそもそもできるのか?という不安の中、活動がスタートしたことなどが語られた。コロナ禍での工夫・新たな活動コロナ禍の不安といかに向き合ったのか5. 実施報告

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