令和4年度鹿児島大学FD報告書
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18 その上での教員の対応については、短期的・長期的双方を考える必要がある。短期的というのは、この授業期間中の対応である。授業期間の途中でグループを解体するのは困難であり、グループを継続しつつ対応しなければならない。その場合、例えばグループワークに関して、他のグループも含めてクラス全体のルールを定めるといった方式が考えられる。司会役や記録係を毎回交代制で定めるといったルールである。独断専行と言われるような事態を防ぎつつ、問題になっている学生にもグループワークへの適切な取り組み方を学習させていくのである。 長期的というのは、次年度に活かすということである。坂尾氏の報告における、学生の失敗例を教育改善に活かすということにもつながる。次年度は授業開始時からグループワークのルールを示しておく、評価基準にグループワークへの関わり方に関する事項を地理淹れるといったことが考えられる。 さらには、こうしたグループワークに関する問題は、様々な授業で起こりうることから、こうした事例及びその対応法、その成果等を蓄積し、他の教員も活かせるようにすることが重要ともいえる。唯一の正解があるわけではないこうした場面への対処法について、各教員が知恵を出し合うことでより良い実践が増え、学生の学びもより適切なものになる。(文責:伊藤 奈賀子)鹿児島大学FD報告書 前半は、吉満氏と坂尾氏による情報提供を受けてそれらに対する感想を述べつつ、学生はこれまでに受けた授業における教員の印象的な実践について、教員は自身が取り組んでいることやこれから取り組みたいと考えていることについてそれぞれ発言し、情報交換を行った。 後半は、グループワークにおいて問題が生じているシチュエーションに対し、教員の立場からどのように改善を図るかについて考え、意見交換をし、考えをまとめるワークを行った。今回のシチュエーションは、グループワークにおいてあるメンバーの独断専行を他のメンバーから訴え出られた場合、教員としてどのように対応すべきか、というものであった。 各グループでのディスカッションのあと、ディスカッションの結論について発表が行われた。どのグループにも共通していたのは、まずは学生からのヒアリングが必要であるということ、その際には客観性を保つ必要があるということであった。独断専行と言われた学生は、教員からは学習に積極的かつ意欲的であるように見える可能性もある。他の学生は対処に困ったからこそ訴え出たのであるが、教員が一面的な見方に引きずられないようにすることは最低限必要である。4.グループ・ディスカッション

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