20鹿児島大学FD報告書 第27号は、吉満誠准教授(大学院医歯学総合研究科(医学系))と坂尾こず枝助教(農学部)にそれぞれ執筆いただいた。 吉満先生の大きなテーマは「医学知識と医療のギャップを受ける臨床実習を目指して」である。このテーマに基づき、診療録を適切に記載する能力を育むことで「型」を修得させることにより、学生がそれまでに修得した知識やスキルを実習の場でどう活かせばいいかを考えさせている。診療録による「型」の修得は、臨床の難しさをリアルに意識させることにもつながっており、教育活動の重要な核となっている。 坂尾先生は、研究室配属を目前に控えた学生に対し、研究の楽しさと失敗可能性を実感させることを意識した授業運営を行っている。そのために、積極的に実験器具を教室に持ち込んで実演したり学生に触らせたりしている。また、研究室での学生による失敗談も授業資料に盛り込み、教員には気づきにくい学生目線の課題を示すことでより実感の伴った学びができるよう配慮している。 両者に共通するのは、一定の「型」の修得の重要性と学生がこれから携わる臨床や研究といった活動の難しさを意識させようとしている点である。取り組み方には違いがあるものの、千号と同じくそれぞれの専門性を踏まえた工夫として、異なる専門性の教員にとっても参考になる取り組みといえる。FDガイド第27号(表)FDガイド第27号(裏)3. 第27号「ベストティ―チャーに聴く授業の工夫⑧」
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