10鹿児島大学FD報告書 午前の部は、高等教育研究開発センターの森裕生先生によるファシリテーションに基づき、学生が自身の学習を振り返るワークショップ形式の研修会として行われた。具体的には、manabaの新ポートフォリオ機能を用いて自身が獲得した知識やスキル・能力について考え、その考えをさらに発展させることで様々な学びの成果を結び付けて全体としての自身の成長を可視化した。そして、自身の現段階での到達点に基づき、新たな目標設定を行った。いずれの振り返り活動についても、一人で考え、書く活動と、他者との対話によって刺激を受けつつ自身の考えを振り返る活動とが相互に行われた。 学習を振り返る際には、特定の活動のみの場合が少なくない。それにはそれなりの重要性があるものの、学生が修得する能力は活動ごとに明確に切り分けられるものではない。多様な活動が相互に関連し合って学生の成長につながっている。そのため、学生生活全体として自身がどう成長したのか、そのことに特に関係する活動とはどのようなものだったかという手順で考える必要がある。 また、学習にはプロセスがあり、学生は徐々に能力を高めていくものである。その経路は一方向的なものでもなければ同じスピードで進むものでもない。行きつ戻りつしたり、時に停滞することもありながら進んでいく。そのため、学習の成果として何が獲得できたかということだけでなく、それを獲得するに至った学びのプロセスがどのようなものであったかを可視化することも重要である。 今回のワークショップではこうした点を踏まえ、綿密に設計された形で学習の振り返り活動が行われた。ここで可視化された学習成果が参加学生の今後の学びをさらに促す契機となることを願う。 午後の部は、ディプロマ・サプリメント(以下、「ディプロマ・サプリ」とする)に関する講話、午前の部に参加した学生からの報告、2つの情報提供を踏まえたグループ・ディスカッションの3部構成で行われた。 まず、ディプロマ・サプリについて、教務担当学長補佐の溝口和宏先生より情報提供があった。本学では昨年度からディプロマ・サプリ発行に向けた具体的な議論・作業を進めており、今年度試行的に発行し、次年度には〈 学生が作成した成果物の例 〉4. 午前の部(学生対象研修会)5. 午後の部(教員対象研修会)
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