令和5年度 鹿児島大学 FD報告書
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16(文責:伊藤 奈賀子)鹿児島大学FD報告書 授業アンケートについては、授業改善に活かすことのできるデータとして今もなお授業アンケートに代わるものはなく、これをいかに活用するかが大きな課題となっている。そのことは、授業アンケートという取り組みが一般的なものとして大学教育に定着したためインパクトを失ったことや学生とのコミュニケーションツールが他にも確保されてきたことなどを受けた相対的な評価の低下があっても変わってはいない。 特に重要となるのは、組織として授業アンケート結果をどう活かすかである。科目群ごとに傾向を見る、自由記述欄の内容から注目すべきものを抽出するなど、様々な方法が考えられるが、まずはそこから解決を図るべき課題を明確にすることが必要である。その上で、解決のための適切な手段を考え、取り組み、成果を示すという一連の流れが必要である。 大学に対する評価との関係上、FDの成果の可視化に対する社会的要請は高まる一方であり、これを逃れることはできない。その一方、教職員は減少の一途をたどっており、取り組みを純増することにも無理がある。必要なのは取り組むべき事項を精査し、確実に教育改善の成果を積み重ねていくことである。 授業アンケートについては、長らく実施してきたからこそともいえるが、大幅に変えることが難しくなっている状況も指摘できる。例えば、授業アンケートは最終回もしくは最終回終了後に実施しなければならないものなのか、結果に対する教員からのコメント収集は全科目で行わなければならないのかなど、改めて問うべき時期に来ているのかもしれない。個別の授業改善にとってより効果的なアンケートを実施するとともに組織としての教育改善にとって有意義なデータを収集するため、どのような内容・方法で授業アンケートを実施すべきかについて、各部局での検討が進むことを期待する。 なお、講話終了後には自由記述欄での学生からの不適切な記述に対する質問があった。この数年の学生の変化を指摘する声は他にも挙げられており、時に■謗中傷に当たるとも思われるような内容を授業アンケートに各学生が各所に現れているとすれば、何らかの対応が必要であろう。おそらくそれは授業アンケートのみで対処し切れる問題ではないものの、授業アンケート実施の際にどのように学生に注意喚起や指導を行うかについては検討が必要である。また、授業アンケート以外の場においても、適切な意見表明の仕方について指導の必要性が示唆されているといえる。

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