19プロジェクトマネジメントに関するスキルの醸成にもつながったといえる。 情報の「対応」については、学部生に対する情報モラル・セキュリティ教育に関する実践の報告があった。子ども向けの教材を学部生に対しても活用する等して実践が行われた。この取り組みは、情報活用だけでなく、いずれ学校現場において子どもたちにICT活用について教えるべき立場にある教育学部生の情報教育に関するスキルの向上を促した。 そして、情報の「技術革新」については、学部生向けの生成AI活用教育に関する調査結果が報告された。生成AIを授業の発想に使用したり、AIへの肯定的あるいは否定的評価をしたりすることは生成AIの正のイメージ形成につながるという。一方、生成AIに対する過剰な期待は負のイメージにつながる。こうしたことから、生成AIに対する過剰な期待を軽減させると同時に、肯定・否定両面からの評価を促すような教育・学習が求められる。その中では、生成AIの仕組みの理解や社会あるいは教育での応用の仕方についても学ぶ機会が必要となる。 現在の学生たちは、まだGIGAスクール構想以前の世代ということもあり、必ずしも学習でのICT活用に慣れているわけでも長けているわけでもない。むしろ、スマホだけでなくいかにPCを日常的に利活用させるかが大きな課題といえる。そして今後は、学生が生成AIを含むICTに対して過剰な期待も委縮もせず、無意識的に使いこなせるようにスキルの育成や理解の促進を進めていく必要がある。将来的にはICT活用が当たり前の世代が大学に入ってくることを踏まえ、大学教育の在り方全体について考えることが求められている。(文責:伊藤 奈賀子)
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