令和5年度 鹿児島大学 FD報告書
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b. 情報の補足:疑問に回答することや調べものに使うことで情報の補足を支援 d. 概要を知る:全く知らない問題・課題の概要を知る。それにより、学習の道しるべとなることを支援 7 結果として今回の試行調査では、ライティング課題では検出がなく、その一方、プレゼンテーション課題では、グループ・プレゼンテーションを行った2年生では8〜10%、個人でプレゼンテーションを行った1年生では14〜21%で検出があった。この中には、全体の20%未満のため誤検出の可能性が示唆されたものもあれば、半分以上が生成AIによるものと判断されたものも見られた。今回はあくまで一部科目における試行的な調査であり、この結果をもって本学学生の使用状況を明言できるものではない。しかし、学生は私たちが想像している以上に使用している可能性は十分考えられる。特に英語科目の場合、文章生成AIの制度が日本語以上に高いうえ、英語のネイティブではない学生にとって利用するメリットがより大きいため、望ましくない使い方をする学生も出てくるだろう。そのため、授業担当教員の側ではそうした英文を見抜く必要が出てくる。 参加した英語担当教員によれば、文章生成AIによるものとして検出された英文は、学生が作成したものにしてはできすぎており、授業内の様子や学生の学力を把握していれば明らかに違和感を覚えるものであるという。しかし、コピペの問題とは異なり証拠が残らないために、違和感を覚えても学生に指摘するのが難しい状況にある。こうした点を踏まえて今後どのように学生指導を行っていくかが喫緊の検討課題である。 なお、学生が利用できるシステムは文章生成AIに限らず、DeepLなどの翻訳ソフトもあり、この場合は何らかのシステムで検出できるものではない。こうした状況を踏まえてどのように英語教育を実施していくか、どのように授業をデザインしていくかは、本学に限らず我が国の大学教育において非常に大きな課題となりつつあるといえる。 共通教育のある選択科目受講生114名(1年生94名、過年度生20名)に対してChatGPTに関するワーク・課題を行った結果について報告があった。 この授業の受講生については、57%の学生が当該学期中に1回以上文章生成AIを使ったことがあると回答した。利用の仕方について尋ねたところ、利用した65名中14名が授業の課題に関連して利用したと回答し、36名が自主的に利用したと回答した。授業内の課題としての利用については、教員からの指示を受けての利用である。自主的な利用については、以下の4つに分類された。 A. 問題解決:専門用語の意味など、授業などでわからなかったことを質問 B. 調べもの:Google等で検索をするのではなく生成AIに尋ねる C. 発想支援:アイデアが思い浮かばないときに利用 D. 外国語:外国語の課題が出た際に利用 また、学生自身が「生成AIは学習の何をどのように支援する」と考えているかについて尋ねたところ、学生の認識は以下の6つに分類された。a. 効率化・時短:学習時間の短縮を支援c. 視点の追加:考えていなかった、欠けていた視点を追加e. 文章の書き方:文章の添削や提示により書き方を支援f. 対話による学び:対話を通して理解の深化や振り返りを支援【話題提供②】

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