8(文責:伊藤奈賀子)鹿児島大学FD報告書から始めた。振り返りに当たっては「目標」「学生の特徴」「運営方法」「評価方法」という4つのポイントに絞った。そして、4つが相互に連携しているか、抜け落ちている視点はないかなどを自身で振り返った後、グループワークに取り組んだ。 グループでは、それぞれの個人ワークの成果を報告し合ったうえで、「私たちが考える授業設計上の要点」をまとめ、発表して全体で共有した。専門も授業のカリキュラム上の位置づけも大きく異なる者同士からなるグループにおいて、そうした違いを超えて見出せるポイントを考えることを通じて、授業設計上の要点を押さえることを意図したものである。グループワークでは、それぞれの現状共有から始まり、活発な意見交換がなされた。 各グループの発表からは、重要な示唆がいくつも見られた。その一方、授業を担当するほかの教員との情報共有や学生に対する期待と現実とのギャップなど、新任教員が抱えやすい課題も述べられた。先述の目標設定における科目間の役割分担など、教員間のコミュニケーションが十分行われなければ課程全体として十分な教育成果を上げることは難しい。新任教員については、自身の授業をより良いものにするための努力が必要であるのはもちろんのことであるが、そうした新任教員を支える学部や学科等組織内の連携体制構築も非常に重要だといえる。 今回、コロナ禍以前から本学での教員採用数が減少していたこともあって休眠状態となっていた対面での新任教員FD研修会を今年度数年ぶりに再開した。話題提供やレクチャーについては遠隔でも特段問題はないものの、やはりグループワークについては対面のほうが円滑に進む面も大きく、今後の開催方法については目的に応じて選択が必要といえる。また、新任教員に限らず多様なニーズがあることを考慮すると、短時間のセミナー動画を複数準備しておくといった取り組みも検討が必要であろう。 6.まとめ
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