13 第2に、自由記述欄における学生からの■謗中傷対策である。幸いにして今回の発表者はそのような事例に直面したことはないものの、そうした事例を見聞きしたことはあるとのことであった。システムを用いてアンケートを実施している場合、学生側からは無記名での回答であっても、システム上は学生の特定が可能であり、当該学生を呼び出して指導を行っている事例もあった。昨今の社会一般におけるSNSへの投稿と同様に、授業アンケートにおいて書くべきこと、書いてはならないことをいかに学生に理解させるかは、非常に大きな課題である。 第3に、Times Higher Educationにおける学生調査のようなランキングのための調査の意義について、そして、授業アンケートそのものの意義についての問いが示された。ランキングのための調査というのは教育機関として本末転倒ではあるものの、授業アンケートをはじめとする学生調査については各大学独自にも行っているものである。その意義について、回答を依頼する教職員の側も今一度考える必要はあるといえるだろう。 3つの質問への回答後は、参加者からの質問への回答のほか、報告者間での質疑応答が活発に行われた。授業アンケートについては、「こうすべき」「こうするのが良い」といった明確な回答が用意されているわけではない。今後も各教育機関において、自分たちなりの目的を設定し、それに見合った方法での実施とその結果の利活用が求められる。学生の「アンケート疲れ」だけでなく、教職員の業務過多なども徐々に問題となる中、実施の仕方についてそれぞれなりの最適解の模索が続く。(文責:伊藤 奈賀子)
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