2 学長あいさつ鹿児島大学同窓会連合会の皆様方におかれましては、日頃より本学の教育・研究に関してご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。令和7年4月1日付で学長に就任し、早7か月が過ぎようとしています。入学式をはじめとした様々な行事、学内会議や学外での委員会等々、慌ただしく日々が過ぎていく中、農学部附属高隈演習林、教育学部寺山自然教育施設、大学院理工学研究科南西島弧地震火山観測所、水産学部附属海洋資源環境教育研究センター東町ステーション等の本学附属施設を見学し、改めて鹿児島大学の大きさと歴史を実感しております。これまで本学は12万人を超える卒業生を送り出してきましたが、令和7年4月12日に本学に関わるすべての皆様に感謝を表す事業の一つとして「ホームカミングデー2025」を、同窓会連合会20周年記念事業に併せて初めて開催しました。このホームカミングデーでは記念式典およびSKYCAMP5期生(地域密着型パイロット人財創出プログラム)と教員による活動を紹介しました。今後も本学卒業生の皆様には鹿児島で過ごした学生時代を思い出し、母校・鹿児島大学を身近に感じていただきたく、本学の最新の活動内容等の情報を引き続きお届けしたいと考えています。さて、鹿児島には古から海外との交流を重ねてきた歴史と、豊かな自然、固有の文化・伝統があり、この広い県土をキャンパスにする本学には、総合大学であるが故に未だ十分に活用できていない潜在的なポテンシャルがあると考えています。このような多分野にわたる潜在的な力を引き出すために、部局間(学内)及び大学間連携による新たな融合研究の創出、産官学金言連携による社会実装化や新たな地域社会の構築などを推進し、本学の持つ潜在的な力を結集させて最大限活用できるように取り組んでいます。その一つとして、長崎大学を提案大学として宮崎大学と本学が連携して採択された地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)では、令和7年7月9日に三大学間連携協定を締結しました。本事業では新興・再興感染症及び人獣共通感染症研究を柱にする「グローバル・ヘルス」のほか、「グローバル・エコロジー」、「グローバル・リスク」の3領域で三大学が協力して研究を推進し、国際的な研究拠点を目指します。また、令和6年4月にスタートした南九州畜産獣医学教育研究拠点(SKLV)はちょうど宮崎大学と本学の中間地点・曽於市に設置され、全国から産業動物の獣医師研修を受入れるだけでなく、併設された乗馬クラブではホースセラピーも行っており、1年間で2万人を超える利用者を迎えて地域活性化の一つの成功事例となっています。宮崎大学とは、宮崎県高岡町出身の鹿児島医学校で学んだ高木兼寛博士(海軍軍医総監・東京慈恵医科大学創設者)とのご縁で医学部間の連携実績があり、今後は、獣医学、教育学、農学領域等でも連携を進めていく方針です。環境問題やAI開発の進展など刻々と社会が変化する一方、国内では急速に少子化が進み、これからの高等教育は学修者本位の教育を更に推進すると共に、多様な学生を受入れ、大学院教育を拡充して、「知の総和」(数×能力)の向上を目指さねばなりません。執行部や部局長から意見を伺い、教員をはじめ事務系及び技術系職員など本学職員全員が力を合わせて本学の潜在的な力を引き出し、総合大学としての強みを活かして20年後、40年後の社会で活躍する卒業生を送り出したいと鋭意努力してまいります。今後とも同窓会連合会の皆様方にはご支援、ご指導を頂戴したく、宜しくお願い申し上げます。鹿児島大学長 井戸 章雄「知の総和」の向上を目指して
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