共同獣医学部附属動物病院

助教

岩永 朋子

あらゆる病気で起こる血液凝固異常を研究して、救命率を上げる!

血液凝固異常を知るのは複雑

T-TASⓇplusの機械。血栓ができる様子を直接観察できる。

 体はどこかで出血すれば血が固まり(凝固)、血のかたまりができれば、溶かす(線溶)ということを日々繰り返しています。このバランスはとても微妙で、どちらかが強すぎても病気になります。例えば、凝固に傾けば、心筋梗塞や脳梗塞などになり、線溶に傾けば、止血異常やDIC(*1)という出血が止まらない状態になります。血液凝固は血小板が行う一次止血と、多数の血液凝固因子が関係する二次止血を行うという2段階に大きく分かれます。更にできた血栓を溶かす線溶系があり、これらのどこかが異常になれば、血液凝固異常が発生するのですが、この様に多因子が複雑に関連するため、検査も複雑です。我々の研究では現在新規血栓形成解析装置(Total Thrombus-formation Analysis System;以下T-TASⓇplus)という新しいシステムを導入して、血液凝固異常のメカニズムを解明すると供に、実際の動物臨床現場で、T-TASを新しい血液凝固検査として導入することで、病気の早期診断につなげられるのではないかと考え、その応用を研究しています。

動物と人の病気は同じな様で違う、違う様で同じ

猫の心臓病の超音波検査図。矢印は心臓内でつくられた血栓。

 現在、動物でもCT検査、MRI検査や超音波検査など様々な検査機器を利用して、診断を行っています。私は普段動物病院で循環器疾患をみることが多いのですが、犬では僧帽弁閉鎖不全症(*2)、猫では心筋症(*3)が多く見られます。人と比較して、犬では心臓病で血栓を形成することは少なく、猫では人と同様に心臓病で血栓が形成されてしまい、合併症として問題となります。この様に血液凝固異常は色々な病気に付随して起こり、動物によって発症率が異なります。中でも、DIC(*1)は動物でも人でも、様々な病気で起こり、死亡率も高い病気です。特に動物は自覚症状を訴える事が難しいので、重症化する前に早期診断をすることが救命率をあげるために大切ですが、現状では難しいのです。血液凝固は動物によって性質が異なる不思議なシステムです。猫は血液が固まりやすく、犬はかたまりにくいです。馬はさらにかたまりにくく、人は犬と馬の間に位置します。なぜこの様な差が出るのかはまだ解明されていません。動物と人は共通する病気がたくさんありますが、同じようで違う側面を持っています。いろんな動物と向き合える獣医学部だからこそ、様々な角度から物事を見れて、病気の本質に迫れると考えています。現在我々は他の国内獣医大学および米国獣医大学、さらに医学部などの多施設で共同研究を展開し、色々な血液凝固異常を人と比較しながら研究し、その病態解明をしています。

用語解説

*1:Disseminated Intravascular Cagulationの略。播種性血管内凝固。炎症、腫瘍など様々な病気で併発します。血管内に微小血栓ができて他臓器不全をおこし、さらに、この微小血栓を溶かそうとして、線溶系が活性化するため、出血傾向となり、死亡します。
*2:心臓の中にある僧帽弁という左心房と左心室の間にある弁が、逆流を起こしてしまう病気
*3:心臓の筋肉の病気で、筋肉が厚くなったり、薄くなったりなど、心筋細胞が変化してしまうことで、心不全を引き起こしてしまう病気

Profile

共同獣医学部附属動物病院

助教

岩永 朋子

日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)獣医学科卒業。獣医師。都内の動物病院に5年ほど勤務し、臨床経験を積んだ後、東京女子医科大学心臓血管外科実験助手として、血管再生と心臓発生の研究に従事。2008年、結婚を機に鹿児島へ移住し、2010年鹿児島大学附属動物病院研修医、2013年特任助教を経て、現職。2018年9月~2019年4月まで、米国コーネル大学獣医学部へ獣医学教育の研修と血液凝固に関する共同研究のために渡米。
現在は附属動物病院にて犬猫の診療と臨床教育および研究を行っている。専門は獣医循環器、獣医内科学。

学生(受験生)へのメッセージ

 私が高校生の時、ゲノム解析が本格的に始まり、生命科学に漠然と興味を持ちました。大学では牛馬豚鶏犬猫など色々な動物のことを学び、同じほ乳類でもその違いにおもしろさを感じました。臨床にでて言葉をしゃべらない動物の診療の難しさを、医学部で研究の大切さを知りました。私は飽きっぽい性格で、ここまで寄り道が多かったですが、今は、その全てが肥やしとなり、土台になったと思います。色々な経験は必ずいつか役に立つと思っています。先ずは自分の興味がある分野の扉をたたいてみるのも良いのではないでしょうか。

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