平成29年度後期「授業改善メモ」のまとめ
共通教育センターでは、授業をより良く改善するため、前後期末に学生による授業アンケートを実施して
いる。また、授業担当教員からは、その結果を踏まえた授業改善メモを提出してもらい、内容をとりまとめ、
ホームページ上に公開している。この授業改善メモには、教育改善のための有益なコメントや要望等が多数
含まれている。
以下、平成29年度後期の授業(「初年次セミナーⅡ」、「大学と地域」)に対して提出された授業改善メ
モを、1.授業改善に向けての試みや工夫(①講義の工夫②教員の姿勢・教授上の工夫③学び合いの工夫)、
2.授業改善に関連した意見・要望等、に分類し紹介する(同様の内容は省略した)。
初年次セミナーⅡ
1.授業改善に向けての試みや工夫
【講義の工夫】
・分野によって形式や作法が異なることを体感してもらうため、自然科学系の論文の例として、過去に
自分が投稿した論文の原稿を回覧して見せ、それがその後査読を経て編集を受けて最終的にパブリッ
シュされた状態までの一連の流れを見せたところ、理系の学生だけでなく文系の学生も興味を持って
くれたようである。
・毎回出す課題は授業時間内には説明せず、授業で使ったKeynoteスライドとともにmanabaに掲載し、
復習しながら取り組ませるようにした。
・レポートを正しく書く能力が身についたら、それが将来、どのような場面で役に立つのかを毎回の講
義の最初に学生に伝えることで学生の興味を引き、講義に集中させた。
・仮レポートは全て印刷して提出するように求めた。ノートPCを利用している学生が多く、小さな画面
では細かいミスに気づかないことが多いと思われることと、ピア・リーディングのためでもある。
・毎回、授業ごとの目的・目標を話し、実施する活動についてタイムスケジュールを提示し、「次に何
をすればよいのかが明確」ということで今年度も好評を得た。また、シャトルカードも含めた質問の
しやすさも評価の理由として挙がり、これらを継続していきたい。
・テキストに書かれていることも、スライドを使って説明するようにした。そうすることで、説明がわ
かりやすかったという意見も少なからずあった。
・徹底して自分で考えること、そしてその考えをお互いに話し合い、ブラッシュアップさせること、そ
れをクラス全体で共有すること、であった。テクニックを教えるなどという、大学の在り方や学問を
否定するような講義はせず、自ら考え学ぶ姿勢を作ってもらうよう努力したものである。
【教員の姿勢や教授上の工夫】
・読み合わせや話し合いの間は、極力学生の間を歩き回り、質問に応えたり議論が進むように話を向け
たりした。
・ワークシートを読むだけではレポートを上手く仕上げることは難しいため、manabaを通してレポー
トをあらかじめ提出させ添削した。やる気のある学生はしっかりと指摘された点を直し、高い質のレ
ポートを完成させることができた。
・学生が質問しやすい雰囲気づくりに努めている。また、学生のモチベーションが下がらないよう、毎
週の学生の変化等をよく観察している
・毎回の宿題は必ずコメントをつけて返却した。手間はかかるが、個別指導が効果的である(ただし、
対応できる学生数、クラス数に限度がある)。
・レポートは添削をするのではなく、改善点を指摘して学生自身に考えさせるようにした。
【学び合いの工夫】
・論証型レポート作成を目指すことから、個人ベースの学習になりがちではあるが、あえて、少人数
(4人程度×8グループ)のグループを作って話し合いの時間を多く取った。その分、足りなくなった
個人作業の時間は課題にまわした。
・この授業では、グループワークではなくペアワークで進めた。課題などはその二人で交換させて読み
合わせをさせるなど、ピア・リーディング的な活動を行なっている。
・お互いの仮レポートを査読的に読ませ、誤字脱字から内容にいたるまで修正点を書き込ませることで、
客観的に文章を読むことを心がけさせた。
・授業でグループ活動を設定し発言の機会を作ることは、「意見の共有で自分の考えを深められた」
「自分の意見を伝える練習ができた」「他学部の人と交流できた」など好影響を与えている。
大学と地域
1.授業改善に向けての試みや工夫
【講義の工夫】
・中間まとめでは、各回の授業内容の振り返りを行い、レポート課題へつなげるようにした。
・全ての回ではないが、学生通しで意見交換をする時間を与えた。しかし、人数が多いため目が行き
届かず、雑談に流れる学生も少なくなかった。
・教員やTAが積極的にコミュニケーションをとっている。
・地域社会と大学の知との関係について理解し,地域社会が抱える課題の解決方法について学生自身
が考え,表現できるように,身近な地域課題を取り上げるように工夫している。
【これから実施したいこと】
・授業シートの記述の改善につなげるように取組みたい。
2.授業改善に関連した意見・要望等
・同じ授業の10クラスにおいて、学修目標や評価方法が共有されていない(統一されていない)ことが
気になる。必修科目なので、担当教員間の情報交換がもう少しある方がよいように思う。とくに、授
業の運営に関することではなく、授業の内容に関する情報が欲しい。
掲載日:平成30年7月25日
文 責:鹿児島大学共通教育センター
FD委員会委員長 渡邊 弘