鹿児島大学高等教育研究開発センター

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FD・IR

FDについて

 FD(Faculty Development)とは、教員が教育成果を向上させることを目的として行う授業内容や方法を改善させるための組織的取り組みの総称として用いられる用語です。特に、大学設置基準第25条の3では以下のように定められていることから、授業の内容・方法の改善を主たる目的とした活動を指すものと考えられる場合が多く見られます。
しかし、その意味するところや内容は論者によって大きく異なっており、研究や社会貢献までも含めた教員の職能開発に関する活動とする捉え方もあるなど、かなり幅の広い概念です。

《大学設置基準第25条の3》

 大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする。

 鹿児島大学では、教育の内容・方法の開発・改善及び教育研究に関する研修の実施に関する責務を明記することによって教育の質的向上及び学生支援の円滑な遂行を図ることを目的として、2014年7月17日に「鹿児島大学ファカルティ・ディベロップメントに関する指針」を定めました。
ここでのFDとは、本学の教育理念を実現するために、大学全体、部局等、そして個々の教員という全てのレベルにおいてカリキュラムや授業の内容・方法を開発・改善に取り組むことにより、教育の質の向上を図るとともに、学生支援を行う自発的な取り組みを指しています。

《鹿児島大学ファカルティ・ディベロップメントに関する指針》

【具体的事例(新任教員FD研修会)】

 鹿児島大学では、毎年9月に新任教員FD研修会を実施しています。新たに着任した教員を対象として、本学の教育方針や教育改革の方向性等を紹介した上で、授業運営に関する課題や具体的な改善のアイディアを話し合いながらより良い方法を見出していく機会と位置付けています。
 大学教員には多様な専門性があり、授業にはそれぞれの目的や目標があることから、授業運営方法について普遍的な正解があるわけではありません。また、同じ授業でも、Aという教員にとっては教育成果向上にとって有効な方法が、Bという教員にとっては適切ではない場合もあり得ます。そうした点を踏まえ、この研修会では敢えて専門性も職歴や経験年数も異なる教員同士の情報交換を大切にしています。

 また、授業運営方法だけに目が向きすぎてしまうことも問題です。授業はあくまでカリキュラムの一部です。カリキュラム全体として達成を目指す目標があり、個々の授業にはそのために担うべき役割・目標が与えられていることから、それぞれの授業担当者は、自身の担当科目で達成すべき目標を確実に達成できるよう、授業運営方法を改善しなければなりません。

 重要なのは、個々の教員が、自分が担当する授業がカリキュラムの中でどのような役割を担っているかを充分理解した上で、自分の専門性や個性を踏まえつつ教育成果を挙げるにはどうしたらいいかを主体的に考え、実践することです。それは、新任教員に限らず全ての教員にとっての責務ともいえるでしょう。

IRについて

 IR(Institutional Research)とは、大学の機能を改善・向上させるための調査活動です。鹿児島大学高等教育研究開発センターでは、全学の教育機能を向上させることを目的とした「教学IR」を実施しています。

当センターの教学IRは、次の3点を特徴としています。

  • 本学の学生を対象として定期的に実施されている意識調査(以下「学生調査」という)の結果を分析し、学生の学習に関わるニーズを可視化すること
     (本学で実施している学生調査・・・新入生アンケート、各期授業アンケート、学生生活実態調査、卒業予定者アンケート、など)
  • 学生調査で得られた結果と、成績や履修状況等のデータを結びつけ、本学学生の学修成果や成長プロセスを可視化すること
  • これらの調査結果をふまえ、本学の学生の能力を最大限に伸ばす教育活動を提案し、全学的な教育カリキュラムの改善や教育の質保証に向けた教職員能力開発プログラムの構築につなげること

鹿児島大学では、教学IRで得られた結果を活用し、FDを通じて教育改善につなげていきます。