専任教員ブログ
FD連続セミナーを開始しました
伊藤です。
昨日より、新たな試みとして遠隔でのFD連続セミナーに取り組んでいます。この目的は、教員間の遠隔授業運営に関する工夫の共有とそれを受けた改善の促進にあります。講師は、前期末に実施した「遠隔授業に関するアンケート」において、多くの学生から高い評価を受けていた教員にお願いしました。学生の声の中には、授業で扱われた知識内容の面白さや多様な講師の話を聴くことのできるオムニバス型授業の良さを指摘するものもありました。それらにはそれらの価値があります。ただし、今回のセミナーは上記のような目的を掲げて企画したことを踏まえ、具体的に教員が行った工夫に対して学生が好意的なコメントを記していた授業を担当していた教員にお願いする形をとりました。
昨日の第1回は、法文学部の金子満先生にお話いただきました。ラジオ番組を聴いているかのような感覚で、とても楽しく参加させていただくことができました。遠隔実施とはいえ、画面共有を通じて資料は示されていたのですが、何よりも金子先生のお話がとても面白かったです。アンケートにコメントを書いてくれた学生さんたちもきっとこんな気持ちだったのだろうと感じました。
金子先生のお話の中で私が特に印象的だったのは、前期1年生対象の授業ではあえてブレイクアウトルーム機能は使わないことにされた点でした。金子先生は、通常の対面授業ではむしろ積極的にグループ・ディスカッションを取り入れておられ、遠隔授業となっても検討はされたそうです。しかし、まだ遠隔授業に全く慣れておらず不安の大きい1年生の状況を考慮し、Responを活用して学生の積極的な意見表明とそれらへのフィードバックを行う形を意識的に選択されたとのことでした。
遠隔授業への対応をいきなり迫られたとはいえ、教育に熱心な教員ほどより良い授業を目指して授業開発に取り組みます。学生同士の交流が難しくなっていることを踏まえてグループ活動の機会を積極的に取り入れた教員も多くいたものと思います。その一方で、学生もまた遠隔授業への対応をいきなり迫られたのであり、特に1年生は一度も顔を合わせたことのない人と遠隔で話し合うことに不安を覚えてもおかしくないということは理解しておく必要があります。より良い授業にするための積極的な試みは必要ですが、学生に過剰な負荷をかけたり、不安を感じさせたりしてはいないかと考える冷静な視点も必要だと改めて確認しました。
今回のFD連続セミナーは計10回の予定です。次回以降もまた新たな気づきが得られることを願っています。