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専任教員ブログ

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FD・SD合同フォーラムを開催しました

 

 10月13日(火)に令和2年度のFD・SD合同フォーラムが無事終了しました。今回は、コロナ禍を受けて初の遠隔開催でしたが、100名を超える方々にご参加いただき、むしろ例年以上の大盛況でした。

 今年度は「新型コロナウィルス感染症流行下における学生・教職員のメンタルヘルス」と題して、本学医学部保健学科の赤崎安昭教授にご講演いただきました。内容については別途ご報告させていただきますが、具体的な事例を多数交え、とてもわかりやすく、私たち教職員がより適切な学生対応を行うために、また自分たち自身のメンタルヘルスのために重要なポイントをお示しいただきました。参加いただいた皆さまの今後に活かされることを願っています。赤崎先生には心より感謝申し上げます。

 

 私自身が特に印象に残ったのは、学生が抱える不安に関する2つのことです。

 

 1つは、学生の多くは、自身の健康悪化以上に、自分がクラスターの発生源になってしまうことに対する不安を強く抱きがちであるとの指摘でした。テレビの報道やインターネット上のニュースを見ていても、感染者に対する誹謗中傷や偏見が問題となることがたびたび指摘されています。新型コロナウィルス感染症はその名の通り感染症なのですから、感染によって自身の健康が損なわれることに不安を覚えるのはごく自然なことです。しかし、特に若年層においては重症化リスクが低いと言われていることもあり、自分だけの問題では済まなくなることや、それによって誹謗中傷にさらされることに対する不安の方が大きいということでしょう。これは、互いの目を気にし合う傾向が強いとされる日本社会ならではのことなのかもしれません。

 

 もう1つは、感染に対する不安のあまり、偏見に基づく差別的な言動をとってしまう学生もあり得るとの指摘です。例えば、部活動や寮など、クラスター発生が報告されている事例はいくつかありますが、全ての大学でクラスターが発生したわけではもちろんありません。そうした事例はごく一部であり、多くの大学では問題は生じていませんし、感染対策を徹底していても感染を完璧に防ぐことは困難でしょう。それにもかかわらず、「ある部活動をしているから」「寮生活をしているから」というだけの理由で関わりを拒絶するのは、差別的行為に当たると思います。

 

 未曽有の事態に不安が高まっていることは間違いありません。しかし、私たちが確保すべきは互いの身体的距離であって、人と人とのつながり自体を断ってしまうのは決して望ましいことではありません。まずは、自分が感染していないのはたまたまであっていつ感染してもおかしくないとの認識を持って感染対策をしっかり行うことが必要です。その上で、リスクの低減や治療に多大な貢献をしてくれている医療者への感謝の念を常に持ち続けること、そして、感染者を孤独にすることなく思いやりのメッセージを投げかけることを忘れないようにしたいと思います。

 

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