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専任教員ブログ

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第2回FD・SD合同フォーラムを開催しました

 

 伊藤です。

 

 昨日、第2回FD・SD合同フォーラムが無事終了しました。登壇いただいた6名のパネリストの皆さま、参加いただいた皆さま、いずれに対しても心より感謝申し上げます。

 

 例年であればこの時期には、学生・教職員ワークショップという企画を実施していました。学生と教員、職員の3者が対等の立場で1つのテーマについて考え、語り合い、解決策を考えていくことを目的とした企画でした。しかし、今年度はこのような状況の中で密なグループ・ディスカッションを伴う企画の実施は困難と判断しました。もちろん、仕組みとしてはZoomのブレイクアウトルーム等の機能を用いれば実現可能なのですが、全く初対面の学生と教職員がいきなりグループをつくり、Zoom上でディスカッションをするというのは容易ではないでしょう。同じ授業を受けている学生同士でも、いきなりディスカッションと言われれば躊躇することが少なくないためです。

 こうした点を考慮し、今年度についてはワークショップの実施は断念し、「3者が対等の立場で1つのテーマについて考える」というこれまでの企画の根幹を活かしたうえで可能な形を模索しました。また、これまでは学内に閉じた企画でしたが、遠隔開催ということで県内にある他の高等教育機関にも開放し、大学地域コンソーシアム鹿児島との共催企画として実施することとしました。

 

 今回の企画においては、とにかく登壇してくれた2人の学生さんが素晴らしかったという一言に尽きます。1年生ながら非常によくまとめられた資料と発言で、鹿児島大学の一員として頼もしく感じました。

 1年生については、遠隔地からやってきて1人暮らしを始めたばかりで周囲に友達もおらず、苦しい思いをした人も多かったでしょう。それでは地元出身者であれば問題はなかったかというと決してそうではなく、特に県内で遠距離通学をする学生には、そうした学生ならではの困難が多々あったことが示されました。

 私も含め、大学の教職員としては様々な状況を勘案してできるだけ学生さんのために配慮を行ってきたつもりです。もちろん、不十分な点もまだまだあるでしょう。しかし、学生の生の声を聴く機会は、個別の授業単位ではあるものの、組織として集約できるような形では設けることができていません。そうした中で、今回2人の学生さんから直接指摘された事項というのは、非常に貴重なものだったと感じています。

 

 フォーラムの最後にパネリスト全員から一言ずついただいた際に、やはり学生さんから、学生だからといって人のせいにするのではなく、自分にできることをしっかりやることの重要さが述べられました。これは学生に限ったことではなく、教員にも職員にも共通すると思います。

遠隔授業に携わることになった経緯としては、選択の余地もなかったかもしれません。それでも、今後もしばらくは見通しが立たないまま続くであろうコロナ禍において、今年度得られた経験は非常に大きな役割を果たすことになると思います。

今回の企画は、遠隔授業をどう大学教育に活かしていくか、新たな大学教育の在り方を学生と教職員が共に考えていくための第一歩となったのではないかと思います。授業に限らず、学生の生活全体をより良いものとしていくにはどうしたらよいかについて、個人としても、また大学全体としても今一度考えるために、今回得られた知見を活かしていきます。

 

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