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専任教員ブログ

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【鹿児島大学の遠隔授業】「遠隔授業&新しい大学生活サポートリーフ」を発行しました

 

 伊藤です。

 

 先日、「遠隔授業&新しい大学生活サポートリーフ」を発行しました。前期末に全学生を対象として実施した「遠隔授業に関するアンケート」の結果をもとに、鹿大生が実際に遠隔授業にどのように向き合い、何を感じたかをコンパクトにまとめたものです。また、学生から挙がった疑問に答えるQ&A集も掲載しています。既に、遠隔授業を受け始めて1年近くになろうとする学生たちは、ここにあるQ&Aに挙げられた内容をクリアできていると思います。しかし、来年度以降も一定程度続くと予想される遠隔授業を想定した場合には、次の1年生にとっても有意義な内容になると考えています。

 

 遠隔授業に対する受け止め方を見ると、意欲的に取り組めたとの回答率が高い結果となりました。もちろん、全ての学生がポジティブに遠隔授業に取り組むことができたわけではありませんし、授業ごとの違いも大きかっただろうと思います。それでも、比較的好意的な反応が得られたことにはほっとしているというのは正直なところです。

 その一方、困っていることとして挙げられた中で最も多くの声があったのは、他者との交流に関する部分です。授業そのものは工夫して遠隔授業を行うことでカバーできるとしても、これまでであれば授業前後に行われていたであろう友だちとの何気ない会話や受けている授業に関する情報交換の機会は失われています。部活動・サークル活動にも一定程度の制約があり、全てが自由にできるわけでもありません。

 

 大学生の日常生活上、授業を受けている時間は限られており、自由に使い方を決められる時間が比較的長くあります。授業時間以外の学習に費やす時間の短さが指摘されることもありますが、予習や復習が不可欠な形で授業を設計して来なかった大学あるいは教員の側にも一定程度の責任があり、全てを学生の怠惰がゆえとみなすのは誤りだと思います。

 こうした使い方を自分で決められる時間をどう使うかによって、学生生活の送り方は大きく変わります。一見何でもないような友達との会話から「自分の頑張らなければ!」と背中を押されることもあるでしょう。また、友だちとの間に生じたトラブルを解決する経験を通じて得られる学びもあるのではないかと思います。授業時間外だからこそ、授業とは性質の異なる学びが得られる貴重な機会となるのではないでしょうか。

 

 現在も新型コロナウィルス感染症の脅威はおさまるどころかむしろ深刻になっているとさえいえます。そのような中、遠隔授業は今後も継続して大学教育の中で一定の位置を占めることになると予想されます。人との接触を減らすことが何よりの感染対策になるという中で、徹底した対策を行いつつも学生同士の交流の機会をいかに担保するか。高校までの段階で必ずしも遠隔授業に慣れていない新入生の学生生活を充実させるよう、いかに対応していくか。今後の大学に問われている極めて大きな課題のひとつです。

 

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