鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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後期の授業が終了しました

 

 伊藤です。

 

 先週で後期の授業が終了し、現在は試験期間です。今期はほぼ遠隔授業だったこともあり、いわゆる試験というのが私の担当授業にはなく、期末レポートの提出を待っている状況です。レポートの出来ももちろん気にはなりますが、とにもかくにも期限までにきちんと提出してもらいたいものです。決してやたらと不可を出したいわけではありません。

 

 さて、今年度の授業は初めての試みばかりでした。Zoomを使ったのもオンデマンド教材を使ったのも初めてで、4月時点ではどうなることかと思っていました。結果からすると、どうにかなるものなのだなと実感しています。それまでは、反転授業を考えても「教材作成が大変そう…」と気が引けていましたが、パワーポイントで作成した資料に音声を付けるだけならすぐにでもできると知りました。否応なく遠隔授業に臨むことにはなりましたが、結果として様々なスキルが上がったのは本当に良かったと思います。今後、対面授業・遠隔授業のいずれを行うにしても、選択肢が大幅に広がりました。

 

 初めての試みに臨む中、自身の学内での役割や研究上の関心を踏まえて考えるところも多々ありました。
 たびたび話題になることもあった課題の多さについては、本学で実施した遠隔授業に関するアンケートでも多数の学生から指摘がありました。大学教員は自身の授業でどの程度の課題を出すかについて他の教員と調整することはまずありません。また、遠隔授業ということで学生の理解度や修得度を把握することに対して不安を覚えるところもあったでしょう。そうした諸要因が重なり、一つ一つの課題の量はさほど出なくても、積み重なった学生がとてもしんどい状況に陥ったのだと思います。

 

 課題の多さと同様に、遠隔授業そのものに対する不満の声もたびたび上がりました。「手抜きとしか思えない」といった批判に対しては、一教員として情けないやら申し訳ないやら非常に複雑な気持ちになりました。私自身も4月当初は遠隔授業に関するスキルが皆無でしたから、急に遠隔授業と言われてもできない教員もいただろうと思います。しかし、だからといって解説もないまま教材だけを提示するとか、課題が提出されても何のフィードバックもしないとかいったやり方では、手抜きと言われても無理もないだろうと思います。一方で、Zoomを用いたリアルタイム配信の授業に対してもやはり批判はあり、教員が一方的に話すのを聴くだけであればオンデマンド配信の方が良いという学生の声には説得力があるでしょう。

 

 結局のところ、今年度突発的な事態によって遠隔授業に取り組むことになり、改めて大学の授業とはどうあるべきかが問われているのではないかと考えています。リアルタイム配信授業に対して、教員が一方的に話すのを聴くだけならオンデマンド配信で良いという指摘は、対面授業にも当てはまります。わざわざ教室に来させる意味がないという話になるでしょう。また、オンデマンド教材が、これまで私たちが考えていた以上に手軽に作成できるとなれば、反転授業を行うことは比較的容易になります。そうなれば、オンデマンド教材を視聴したうえで教室にやってくる、あるいはリアルタイム配信授業に臨む学生に対し、授業時間にどのような学習活動を提供すべきかについては、これまでとは全く異なる視点から考える必要があるのではないでしょうか。
 今年度は、教室は教員の話を聴く場ではなく、他の学生と関わりながら学びをさらに深める場へと転換する契機となるのかもしれません。そうなれば良いとも願っています。

 

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