鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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自分の置かれた状況・環境に感謝を忘れずに

 伊藤です。

 出産後、見える世界が変わったなと感じることが多々あります。見えていなかった世界まで視野が広がったり、何となくそうだろうと思っていたことに実感が伴ったりしています。前者としては、「世の中にはこうも妊婦さんがいたのか!」と自分がそうなって初めて気が付き、同じように現在は、「世の中には幼い子を抱っこひもで抱えている親御さんがこうもいたのか!」と感じています。一方後者としては、大学教員という比較的時間の自由が利く立場にあることのありがたみです。

 専門分野によって、あるいは大学によっても違いはあると思いますが、私の場合、職場にいるときは完全個室に1人で過ごしています。一応、webで出勤・退勤の記録は残しますが、そもそも裁量労働制のため、遅刻とか早退といった概念がありません。

 子どもが熱を出したと保育園から電話があったとき、すぐに行かなければならないのは私も同じです。それでも、誰に頭を下げる必要もありません。そもそも1人でいるので、申し訳ないと思う相手がいないのです。もちろん、急を要する仕事をまだ終えられていなければ申し訳なく思う事態はあり得るのですが、目の前にいる何人もの人たちに対して申し訳ないと思いながら頭を下げて職場を出なければならないというだけでも心が苦しくなると思うのです。

 コロナ禍の副産物もありました。リモートワークが可能になったことで、自宅でできることが格段に増えました。リモート復帰の頃はようやくお座りができるようになった段階だった我が子は今やかなりの怪獣度合いになりました。パソコンのモニターには上から横から手を出しまくるために仕事にならないことも多いのですが、それでも出勤しなければならないという軛から逃れられただけでも選択肢が増えました。

 本学に奉職することが決まった際、前職でお世話になった先生から「あなたより優れているものの機会に恵まれずにいる人がたくさんいることを忘れないように」と言われたことを、最近改めて思い返しています。私が今こうして比較的余裕をもって仕事と育児に向き合えているのは、私の能力が故では全くありません。様々な運と縁に恵まれ、また時期的にも恵まれたためでしょう。

 先日ある先生から「管理職となってからの出産という新しいロールモデルになってね!」と声をかけられました。そんな大それたことができるとは思いませんが、確かにレアケースではあるでしょうから、それなりに果たすべき役割はあるだろうとも思っています。お休みをいただいたことでお世話になった皆様への恩返しをそうしたところでもしていくべきなのかもしれません。自分にできることは何かについて、より広い視野から、これまでとは異なる観点から考えて行動していきたいと思います。

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