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専任教員ブログ

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研究倫理ワークショップを開催しました

 伊藤です。

 過日、大学院生対象研究倫理ワークショップを開催しました。参加くださった大学院生の皆さん、ありがとうございました。

 今回の企画は、知識修得を目的とした研究倫理教育は各研究科で実施されていることを踏まえ、実際の問題状況においてどのような行動をとるか考え、ヒントを得ることを目的としました。教材としては、米国研究公正局(Office of Research Integrity)製作のバーチャル体験型学習シミュレーション教材「The Lab」を使用しました。「The Lab」は大学院生だけでなく、ポスドクや研究室主宰者、研究公正責任者という4つの立場からシミュレーションができます。米国と日本の違い、専門分野の違いはあるものの、私も非常に勉強になりました。

 今回、「The Lab」を視聴してみて、改めて専門分野ごとの文化や作法の違いを意識しましたし、大学院生の立場から見たときの景色と研究室主宰者、あるいは研究公正責任者の立場から見える景色の違いを感じました。私は研究室主宰者でも研究公正責任者でもありませんが、教員として在る以上、そうした立場から考えることも必要だと実感しました。今後も研究倫理を扱った研修会を開催する機会があるかもしれませんが、そのときのために視野を広げておくことも大切だろうと思っています。

 なお、私は、研究室内で共著論文を書くといった経験が全くないので、新鮮に感じた部分もありました。博士前期課程と博士後期課程との間にタイムラグがあり、指導教員は同じだけれどその間に研究課題は変わったなどイレギュラーな進み方をしたため、「研究室」というものを意識しづらかった側面もあるでしょう。博士前期課程在籍時は博士後期課程の先輩方はかなり遠い存在で、一緒に研究するなど考えもしませんでした。一方、博士後期課程在籍時は、接点のある大学院生は大学職員として仕事をしている方ばかり、私も既に大学教員として仕事をしながらだったため皆とにかく時間がありませんでした。限られた時間の中でともに考え、議論をしましたが、一緒に研究をするという発想にまでは至りませんでした。

 「研究室」の捉え方もいろいろあるのだろうと思います。研究倫理に限らず、FDに関する企画を実施していくに当たり、そうした多様性を忘れないよう気を付けねば、と改めて感じた次第です。

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