鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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遠隔授業で得られた知見の活用に関する研修会を開催しました

 伊藤です。

 表題の通り、全学FD研修会を開催しました。情報提供いただいた先生方、参加いただいた皆さま、ありがとうございました。今回は、大学地域コンソーシアム鹿児島加盟校にも開放しましたが、他機関からも参加いただき、このテーマに対する関心の高さを感じました。

 さて、内容については既に報告書を別途作成しており、私の中では既に消化してしまいました。そのため、報告書に書かなかった話をします。

 とりあえず、何より楽しかったです。
 
  全学FD研修会は基本的に常に企画・運営者としてかかわっているので、問題なく、滞りなく開催し終えることが最大のミッションです。教員の話は長くなりがちで、時間は押すものだと思っていますが、時間通りに終える(=延長しない)よう全力で努力します。さらに昨日の企画はハイブリッド開催だったので、問題なく配信されるようにとか、音声のハウリングが起きないようにとか、考えなければならないことが、対面のみあるいは遠隔のみのときより多くなります。そんな中では、楽しむとかいったことを考える余地はほぼありません。

 それでも、昨日は先生方のお話が本当に楽しく、たくさんの気づきや学びを得ました。見習わなければと思うことも多々ありましたし、考えるべき論点もいくつもいただきました。100人を超える受講生全ての章レポートに必ずコメントを返すという「苦行」には私も過去に挑んだことがあり、「自分以外にもそんなことをする人がいるのか!」ということに驚くと同時に、そのころほどの意識で学生と向き合っていない自分を顧みて反省しました。

 ただ、何より印象的だったのは、ハイブリッド開催を手伝ってくれた学生さんたちからの「先生たちがこんなことを考えているとは思ってもみなかった」「話が聴けて良かった、面白かった」という感想でした。
  考えてみれば、学生たちは、教員がどのような考えで授業を設計・運営しているかを聴く機会などありませんよね。授業の背景や教育について、学生についてどんなことを考えているのかということを知ることで、学生の考え方や授業への臨み方も変わるかもしれないなと思ったりしました。
 また、教員同士のディスカッションを目にすることもないでしょう。教育に限らず研究に関連するようなテーマも含めて、教員同士が真剣にやり取りする姿を見せること/見ることにも意味があるのかもしれません。小中高でもそうした機会はあまりないかもしれませんが、大学よりは教員同士が話をしているのを目にする機会があるのではないでしょうか。大学の場合、共同研究をしているとか、授業を共同で担当しているとかでない限り、学生の目に触れる場で教員がやり取りしている場面があまり浮かびません。教員とは何者なのか、どういう人なのかを知ってもらうには、そんな場面も案外大切だったりするのかもしれないなと感じました。

 なお、最も虚を突かれた発言は、私からの「コロナ禍以前と比べて変わったことは?」という質問に対し、しばらく考えた後出てきた「おっさんになりました」ですね。パネル・ディスカッションでそんなことを言われても...というのが正直なところではありました。ただ、30~40代というのは、「若手」から抜けていく時期であり、自分の立ち位置がわからなくなるというのは確かに自分自身もちょっと感じたかもしれないと思い返しました。
 私は、これまでのところ、40歳前後が鹿大教員生活の中で最も激務の時期です。そのため、そのころ自分の立ち位置について考える余裕など全くなく、目の前の仕事に対応するだけで精一杯でした。その時期を終え、自分の時間が持てるかなと思ったらコロナ禍、さらには妊娠・出産と続き、最近になってようやく、仕事に使える時間の総量は明らかに減ったとはいえ、自分の時間が持てるようになったと感じています。だからこそ、自分はこれからどうやって生きていくのか、どうしていけばよいのかを考えるようになったのかもしれません。そう考えれば、案外あの虚を突かれた発言も的を射ていたのかもしれないななどと思ったりしているところです。

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