鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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FD・SD合同フォーラムを開催しました

 伊藤です。

 表題の通り、昨日、本年度最後のイベントを開催しました。ご登壇いただいた皆さま、ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

 毎年開催している企画ではありますが、今回は開催までにあれやこれやとあり、企画者としてはなかなかにバタバタでした。さらに当日は雨まで降り、全て思うようにはいかないことを改めて感じました。前日も今日も晴れているのに、なぜ昨日に限って雨だったのやら、です。

 さて、今回のテーマはICT活用でした。この企画は本学FD委員会と大学地域コンソーシアム鹿児島FD・SD活動事業部会との共催のため、加盟他機関へのアンケート調査結果を受けて設定したテーマです。そのため、もしかしたら他機関の皆さまがイメージしていたICT活用とは異なる捉え方だったかもしれません。

 というのは、趣旨説明のために改めて私もICT活用について調べ、考えたのですが、そもそもこの言葉の意味するところがかなり時期によって変わるのです。わかりやすいのは2020年以前と以後、つまりコロナ禍以前と以後です。コロナ禍以後の大学教育におけるICT活用には、多分に遠隔授業に関連する事項が含まれています。しかし、コロナ禍以前にそれを考えていたのは放送大学くらいではないでしょうか。今や、遠隔授業をどう有意義なものにするか、どのように遠隔と対面とのハイブリッド化を進めていくかといったことを考えることなくICT活用を語っても、それはICT活用のごく一部を取り上げているに過ぎないと感じられるでしょう。それくらい、ICT活用という言葉に対する認識は大きく変わっているのです。

 さらには、質疑応答の最後にも取り上げられましたが、現在ではここに生成AIも加わりました。生成AIをどう活かすか、どう教育するか、どう制限するか、といったこともまた、現在の大学が考えずにはいられない大きな課題です。
 そもそもICT活用とはどこかに正解のあるものではなく、目的や授業の性質、教員や学生のスキルを踏まえてより適切な在り方を模索するしかない話です。生成AIはリアルタイムで開発・進化が急速に進んでいることもあり、「より適切な在り方」を模索することさえも難しい側面があります。それでも、ないものとして扱って良いわけではありません。今より生成AIが進化した時代を、学生は、生徒は、児童は生きるのです。教育機関として、今できる教育を施す責任があります。

 こうした研修会を何度も企画・実施してきて改めて感じますが、著名な研究者を招いての講演会の役割はもう終わったのかもしれません。終わったというのが言い過ぎであるとすれば、それだけで完結させるのでは不十分だと思うのです。ありがたい話を聴いて「なるほど」と思っても、それは大抵の場合、次の行動、行動改善のきっかけにはあまりなりません。また、生成AIのように、その原理に関する専門家はいても、その活用に関する専門家は存在しない場合、ありがたい講演をしてくれる人はそもそもいません。
 ではどうすれば良いか。
 結局は、互いに知恵を出し合い、アイデアを共有し合う中で自分なりのやり方を模索していくしかないでしょう。面白い実践をしている教員の話を共有する。効果が明らかにされた実践事例について共有する場を設ける。私たちのこれからの役割は、そういうことなのかもしれません。
 今回は、組織的なFDを推進する立場の私たちの在り方も、認識や在り方、企画や行動の仕方を改めていくべきなのだろうと考える機会となりました。貴重な機会を与えてくださった皆さまに、心から感謝申し上げます。

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