鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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プロジェクトの閉じ方

 伊藤です。

 表題の件、難しいなと常々思っていることの1つです。

 先日、元特任助手の1人が挨拶に来てくれました。学位取得後ポスドクとして他大学に行き、わずか1年でテニュアを得たとのことで、展開の早さに驚くとともに、とてもうれしく思いました。「特任助手として支えていただいたおかげです」と言ってくれましたが、授業運営のスキルについては、私ではなく担当してくれた教員のおかげですし、何より本人の能力あってのことです。私がしたことは、使える予算をそこにできるだけ回したことだけです。
 それでも彼らの支えになったとすればそれは非常に喜ばしいことですが、私自身としてはこの制度が予算の枯渇という理由でぷつんと閉じてしまったことに、申し訳なさややるせなさなど、複雑な思いがあります。もう少し適切な閉じ方ができなかっただろうかと未だ心残りです。

 ずっと続いていたものの、もはや何のために続けているのかが判然としなくなっていたものを閉じたこともあります。本学で運営されていた教育プログラムでしたが、時間の経過とともに当初の意義は薄れ、責任の所在も曖昧になり、教員の関与の度合いやモチベーションも低下し、担当職員の業務だけがはっきりと残されている、という状態でした。
 教育プログラムに限らないと思いますが、閉じ方を考えて始めることはあまりないでしょう。教育改革支援の名のもとに行われる補助金事業で配分される予算は必ず期限付き、申請書には予算措置期間終了後の計画について書かなければなりません。ただ、予算を得たいがために申請しているわけで、その段階で予算措置終了後の具体的な話が書けるかというと、そんな難しい話はないと思います。

 先日、MLでCOC+R関連企画の案内を目にしました。「まだCOC事業からの流れは続いていたのか!」と思ってしまいました。本学もCOC事業に採択されていますが、とても遠い話に感じているというのが正直なところです。今の本学で、そのときの成果がどこまで残されているのだろうと振り返り...あまり笑えませんでした。
 そんな中、確実にそこから引き継がれているのが「地域人材育成プラットフォーム」です。学部横断型の教育プログラムとして、今もキャリア、リサーチ、グローバルという3つのプログラムが動いています。先日、今年度の成果報告会も開催しました。それなりの成果を出しているものと思っています。
 それでも、今の状態が最善かというと決してそうではなく、様々な課題を抱えています。地域人材育成プラットフォームという枠組みについても、各プログラムについても、です。早急に改善を図らなければならないことももちろんあります。
 ただそのときに、このプロジェクトを今後どうしていくのかという視点を持たなければと思っています。続けることそのものが目的化してしまうのは望ましくありません。今の形が最善だと思考停止するのではなく、掲げた理念や目的を今の状況や戦力で達成するにはどのような在り方が良いのか、地に足の着いた議論をしていかなくてはと思っています。考えた末にやはり今の形だと結論付ける可能性もあります。それでも、考え、議論したことには意味があるはずです。

 教育改革は、様々な方面の事情を考慮する必要があるので、自分の事情だけでタイミングを決めることはほぼできません。教育プログラムをどうしていくかにしても、各学部の事情や評価との関係など、配慮すべき要素が多々あります。そうしたタイミングを見極めながら、議論をオープンにして手続きを進めていくことができればと考えています。

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