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専任教員ブログ

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女性教員増・女性上位職増という課題

 伊藤です。

 科研費の採択結果が届きました。全国各地で悲喜こもごも起きていることでしょう。私はというと、ありがたいことに久しぶりに採択していただきました。頑張らねばと改めて思っているところです。

 ただし、私の申請額はかなり少額です。実験系の方々、あるいは海外渡航が研究上不可欠な方々からしたら信じられない金額ではないかと思います。
 しかし、私の現状では高額の研究費をいただいても現実問題としてうまく活用できません。もともと研究のために器具も試薬も必要ありませんし、海外での調査が必須というわけでもありません。そこに加えてコロナ禍を経て、ヒアリング調査などはwebで可能になりました。それでもどこかに出かけて行こうとすると、子をどうするかが問題になります。今年度になって3年ぶりの出張に行きましたが、それも日帰りでした。私はワンオペで育児をしている訳ではありませんが、それでもまだ幼い子を夫に全て任せて飛び歩けるかというと、なかなかそうもいきません。つまり、使い道が限られるのです。少額での申請は、そうした状況を踏まえ、それでも採択という実績を手に入れるための現実的な対応でした。

 国際女性デーが近いことを受け、大学の女性教員に関する調査結果が明らかにされたりしています。執行部や上位職に女性が占める割合の低さが常に問題になります。本学も決して他人事ではありません。

 そうした立場の女性を増やすことは、一朝一夕では不可能です。そもそも母数となる女性教員が少ないし、その前段階ともいえる大学院に進学する女子学生も少ない、さらにその前段階の学士課程では女子学生の所属に著しい偏りがあります。分野に関する進路選択は、遅く見積もっても中学校で始まります。「自分は文系か理系か」という選択をその段階で始めてしまうとすれば、その後の分野変更は、科目選択の関係上非常に難しくなります。だとすれば、それより前の段階で、となると小学校の段階で、文系とか理系とかいった括りではなく、自分の興味関心を可視化させ、言語化させていくことが必要だと思います。自分が興味を持って考えられる、取り組めることは何かというとことから自分の今後を考え出させるという意味でのキャリア教育が必要だとも言い換えられるでしょう。

 大学が抱える課題を解決するには大学の努力だけでは不可能ということが多々あります。女性教員増、女性管理職・上位職増については、もちろん大学でできることもありますが、根本的な解決には社会の仕組みや人々の意識を変える必要があり、それは大学のみでできることではありません。それでも、大学としてその解決にどう関与していくかは模索し続ける必要があります。自分自身にとっても決して他人事ではありません。自分の今後のために、また、子が生きていく将来の社会のために何ができるか考え、行動しなければと思っているところです。

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