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専任教員ブログ

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大学新設の話

 伊藤です。

 令和7年度の開設予定大学等の設置認可について、一昨日答申が出されましたね。
・文部科学省「令和7年度開設予定の大学等の設置に係る答申について(令和61029日)」

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1420729_00018.htm


 定員割れの大学の比率がひたすら上がる中、まだ増やすのかという声が上がるようになって、もうどれくらい経ったのかという気もしますが、それでも大学は増えます。
 個人的には、決して我が国の大学進学率は高くないので、大学を増やすのは論外だといわれると「そうかな?」と感じます。ただ、「高校卒業直後の人が行くところ」という位置づけを変えなければ、変えられなければ、増やすべきともいえない、といったところです。大学が位置づけを、役割を変えられるかどうか次第だと思います。

 今回の設置認可で話題になっているのが、オンライン大学「ZEN大学」ですね。オンラインということで、これまでの大学の位置づけ・役割を変える存在になり得る可能性はあると思います。
 ただ、だとしても、1学年定員3500人というのは、スタート段階としては疑問です。少しずつ実績を積み上げていってそこに至ったというのであればまだわからなくはないですが、何分にもスタート段階ですからね。遵守事項としてこの点に対する懸念が示されているのは当然といえるのではないでしょうか。

 あとは、クラス・コーチ、アカデミック・アドバイザーといったサポート職員の配置が予定されていますが、それはどんな人が何をどう行うのか、その方々の質保証をどうするのかといった点が気になるところです。2020年度からのオンライン授業の経験を経て全国の大学が様々な学びを得ましたが、教員だけでオンライン教育を成り立たせ、成果をあげるというのはかなりしんどいです。そういう意味でサポート職員を配置することは妥当だと考えます。

 しかし、オンラインの大学教育に関するサポート職員に対して、体系的にキャリア形成や資質向上のための教育が整備されている状況ではないと思います。通常の大学経営を成り立たせながら、大学教育で十分な成果をあげるために、こうした方々とどう向き合っていくかも大きな課題のように思います。

 いずれにせよ、期待をもって入学した学生が犠牲になることのないよう願いたいものです。

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