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専任教員ブログ

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鹿児島の短大の話

 伊藤です。

 鹿児島純心女子短期大学が令和8年度以降の募集を停止すると発表されました。

 【鹿児島純心女子短期大学公式サイト「鹿児島純心女子短期大学の学生募集停止(令和8年度以降)について」】

  https://www.k-junshin.ac.jp/juntan/cat-important/15046416/

 鹿児島の高等教育機関は、相対的に短期大学比率が高いです。つまり、短期大学が生き残っています。今回、鹿児島純心女子短期大学は募集停止となりましたが、それでもまだ、鹿児島県立短期大学、鹿児島女子短期大学、第一幼児教育短期大学とあります。4年制大学が6つ、それも国立が2つ(そのうち1つはかなり特殊な専門の鹿屋体育大学)であることを考えると、学生定員はともかく、機関数としては短大比率が高いように思います。

 短大の募集停止、あるいは4年制大学への改組は時代の流れともいうべきものだと思います。多くの場合、女子の受け皿として短大が機能してきましたが、女子の4年制大学進学率は男子とそう変わらなくなりましたし(それでも十分なのかには意見が様々あるでしょうが)、専門性の内容や高さを考えても短大のニーズの低下は致し方ないだろうと私自身は思っています。

 そうした中でも鹿児島で短大がなぜまだこれだけ残っているのか。もちろん、定員割れもしています。鹿児島県立短期大学のように、将来構想について検討中なのが明らかな機関もあります。それでも、それは鹿児島の短大に限らず、全国の私大の多くに共通している話でしょう。気になるのは「鹿児島で」「短大が」生き残っているという事実です。

 着任してもうすぐ14年目に入りますが、こちらに来てびっくりしたことの1つが「女子の場合、鹿大の併願校が短大である」という事例があるということです。国立大学の併願校が短大というのは、私の頭には全くなく、率直に驚きました。これはつまり、女子については県外に出るという選択肢がなく、鹿大に行けないなら県内で行けるところに行く、4年生私大の場合は学費もかかるので短大、という話です。今もこんなことが起きているのかというのは、かなり衝撃的でした。

 私は(県外ではあるものの)地元の国立大学に進学し、自宅から通いました。自分自身がそうだったこともあり、自宅から地元の大学に通うという選択を否定するつもりはありません。ただ、少なくとも私は親からそれを強いられた記憶はありません。一人暮らしなどもってのほかなどと言われたこともありません。大学進学に当たって親を説得したこともありません。
 しかし、この令和の世にもなお、選択肢を限定されている女子高校生がいるのかと思うと、とても悲しく、暗い気持ちになります。大学進学にはそれなりの金額がかかります。ですから、全てを自由に選択できないこともあるでしょう。しかし、その理由が「女子だから」というだけ、男子であれば閉ざされない選択肢が、女子であるというだけをもって排除されるのだとすれば、これは差別だと思うのです。

 どうやって見つけ出せばよいかがまだ見いだせていないのですが、そうした状況を突破したサバイバーの女子学生の話を聴いてみたいとずっと思っています。どうやって突破したのか、何をもって説得したのかという体験談を蓄積することで、次の世代へのロールモデルを示すことができると思うのです。いずれはそういった話が不要になることが理想なのかもしれませんが、まだそんな状況でないのであれば、少しでも状況を変えていくための一歩にしたいと考えているところです。

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