専任教員ブログ
女子大の共学化
伊藤です。
武庫川女子大学を運営する学校法人武庫川学院が令和9年度からの共学化を発表して話題になっています。
【武庫川女子大学「武庫川女子大学の共学化について」】
https://info.mukogawa-u.ac.jp/publicity/alertsdetail?id=376
これまでにも女子大が共学化した事例はいくつもありますが、共学化の中止または延期を求めるオンライン署名が立ち上がったとして話題になっているというのは初めて耳にしました。武庫川女子大学は女子大学としてはかなり規模が大きいため、関係者や関心を持つ人が多く、それで話題になったということなのでしょうか。これまでに共学化を決めた女子大の場合は、規模の問題で話題にならなかっただけなのでしょうか。
つい先日には、京都ノートルダム女子大学が学生募集停止を発表しています。女子大学を取り巻く状況が厳しいことは間違いありません。
【京都ノートルダム女子大学「京都ノートルダム女子大学 学生募集停止のお知らせ」】
https://www.notredame.ac.jp/important/20250425news/
私学の6割が定員割れという状況の中、学生募集の対象が女子に限られるわけですから、単純に人数の問題としてみれば、女子大学の苦戦は必然ともいえます。しかし、女子大学には女子大学ならではのニーズがあるということを、今回の武庫川女子大学共学化をめぐる騒動は示しているのかもしれません。ただしこの騒動にしても、令和7年6月に明らかにして令和9年度からというタイミングであること、ここ何年か拡大を続けており、来年度から新たに設置するコースもある中での発表であったことなど、タイミングをめぐる問題もあったように思います。特に、規模を拡大させていたということで、このまま女子大学で行くというメッセージを与えていた可能性は十分考えられるでしょう。今回の共学化という方針の発表が、どのような議論を経て今のタイミングで出されたのかというところは、個人的にも気になるところです。
女子大学の存在意義や必要性については様々な意見があると思いますが、今のところ私としては、一定の存在意義はあると考えています。ただし、今の大学数が必要なのかについては、そうとはいえないとも思っています。時代の変化、社会の変化の中で役割を終えた大学もあるのではないかという考えです。
だからといって、中教審答申などを見ても明らかに大学閉学や統合が推し進められようとしているものの、それが容易なことではないことは重々承知しています。私の以前の勤務校もそうですが、小規模校も多く、また、一法人一大学という場合には、卒業証明書発行などの業務の引継ぎをどうするかといった現実問題もあります。地域で一定の存在感を持ってきた大学であれば、卒業生への説明をどうするかということも大きな問題になるでしょう。考えれば考えるほどその難しさがわかります。
今回の武庫川女子大学の件は閉学ではなく共学化という話ですが、共学化に舵を切るのも決して容易い判断ではなかったと思います。これから何がどうなっていくかはわかりませんし、全ての関係者が喜べる道はないのかもしれませんが、少しでも納得が得られる道に向けて、納得が得られるタイミングで検討が進められることを願うばかりです。