鹿児島大学 鹿児島大学高等教育研究開発センター

専任教員ブログ

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加世田高校でお話させていただきました

 伊藤です。


 昨日、鹿児島県立加世田高校で探究学習についてお話させていただきました。お招きいただいた森田校長をはじめ、皆さまありがとうございました。


 一昨年度、鶴丸高校からお声がけいただいたのを契機として、探究学習に首を突っ込み始めました。関心がなかったわけではないものの、自分にとって直接的な「仕事」ではなかったので、自分の研究上の関心事である大学生のライティング力育成につながり得る取り組み、くらいの位置づけでした。


 それが今や、探究学習に対する本学の協力の仕方について方針や仕組みの整備に取り組み、呼ばれれば高校にお話に行くという状況に至っており、気がつけば完全に「仕事」になっていました。首を突っ込むとそのまま「仕事」に育ててしまうというのが私の悪い癖でもあり、それは避けようもないことのようでもあり、です。


 取り組むことで私個人に何らかの利益が生じるというものではありません。ただ、せっかくどの高校も探究学習に取り組むのであればより意義のあるものにしていただきたいですし、おそらくそれは大学教育の質的向上や成果向上にもつながるだろう、つながるようにしたいと思うのです。


 探究学習には様々な課題があります。積極的に取り組む高校とそうでない高校、モチベーションが高い人とそうでない人がいるのは教員も生徒も同様です。さらには、何を目的として何をする学習活動なのかをわかっている人とそうでない人がいるというのも、おそらく教員にも生徒にも当てはまる話でしょう。その辺りは、各教科・科目とは明らかに異なる状況ですし、例えば小学校での外国語学習やプログラミング教育よりもわかりづらく、「探究って何?」と戸惑っている人は多いのではないかと思います。


 私としては、探究学習を「自分が関心を持った素朴な疑問を問う価値のある問いへと育て、それに対する自分なりの結論を説得力をもって主張できるようになる学習プロセス」くらいに考えています。何かを覚えるためのものではもちろんなく、学習経験を踏むことそのものに意味があるのではないでしょうか。必ずしも大学進学を希望する人にとって価値があると限定されるものではなく、誰もが社会を生きるひとりである以上、誰にとっても意味のある学習経験になり得るものだと思います。


 問う価値のある問いに育てるというのは、大学生になってからでも、卒業論文を各段階に至ってもなお難しいことなので、高校生が即座にできることではないでしょう。だからこそ経験を積むことが大切だと思います。その難しさを少しでも理解できれば一歩前進なのではないでしょうか。だからこそ、その難しさに気づくまでのプロセスを高校生には経験してほしいと思いますし、先生方には「その問いは壮大なスケールすぎるんじゃない?」「その主張に根拠はあるの?」とツッコむことで、学習プロセスをより有意義なものに育てるための支援をしていただければと願っています。

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