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平成25年度前期「授業改善メモ」のまとめ


【授業改善に向けての試みや工夫】 (文責:教育センター 伊藤)
 
 各教員から様々な工夫が挙げられた。そうした中で、「学修意欲の維持・向上」という観点から、分野を問わず、多くの教員が行っている試み・工夫を以下の3点に整理した。
 
1. 授業内容と実生活との関連付け
 
2. 教員と学生間、学生同士のコミュニケーションの促進
 
3. Moodleの活用
 
 
1. 授業内容と実生活との関連付け
 
 それぞれの科目内容に応じた工夫が見られた。主な目的は、学修への動機付けである。外国語科目では、その言語を用いた音楽や番組の紹介、関連するトピックを取り上げるといった例が多く見られた。また、基礎教育科目や教養系の科目においても、自分の生活とのつながりを学生が意識できるようなテーマ設定や課題提示に関する配慮が見られた。
 
2. 教員と学生間、学生同士のコミュニケーションの促進
 
 レポートや答案に対して、コメントを付けたり、添削を行ったりして返却しているという教員が多く見られた。一方、受講生の多い科目では全ての学生のレポートにコメントを付けることは難しい。このため、共通して見られる誤りには授業内で解説を行うなど、可能な範囲で学修成果を高めるよう様々な工夫が行われていた。
 ペア活動やグループ活動などで意見を述べたり、他者の考えを聴いたりする機会を積極的に設けている例も多く見られた。特に外国語科目においては、修得した学修内容を実際に用いる場を設けられているようである。こうした活動は、学生自身の授業に対する参加意識を高めるという点で効果的である。ただし、活動を行うことが自己目的化しないよう、活動を通じてどのような能力の育成を図るか等について充分な配慮が求められる。
 
3. Moodleの活用
 
 情報系科目を中心に、積極的にMoodleを活用して授業時間外学修を促す試みが行われていた。予習・復習のための資料の掲載のような比較的容易なものから、実施した小テストや練習問題への詳しい解説や毎回の活動記録に対するコメント付与等の積極的活用まで、多様に用いられていた。授業時間外学修の促進という意味でも、Moodleの活用が重要な役割を果たしているといえる。
 しかし、一方では、質問ができる環境を整えても、試験と関連付けたり書いたことに評点を付けたりしないとなかなか質問が出ない、付与したコメントが充分に活かされていないとの指摘も見られた。学生が自主的・能動的に学ぼうとする態度の育成について、個々の教員による努力だけでなく、カリキュラム全体としても取り組んでいく必要がある。
 
【授業改善に関連した意見・要望等】 (文責:教育センター 伊藤)
 
 複数の教員から様々な問題点の指摘があった。中でも、教育センターとして早急に改善を図る必要性が最も高いと考えられるのが、英語科目における学力不足学生と基礎教育科目における未履修学生への対応である。
 
1. 英語科目における学力不足学生の問題
 
 習熟度別のクラス編成を行っている英語については、下位クラスの学生への対応に関する要望が出された。
 

 

 

  • ・いつも下位のクラスを受け持った時に思うのですが、職業高校出身学生の英語力は到底大学レベルについていけるものではありません。下位クラスに入っている普通高校出身の学生とのレベルの違いの大きさは大変なものです。こういう学生を普通高校出身の学生と一緒に授業するのは無理があると私は思います。補講というかたちではなく、こういう学生専門のクラスを作るべきだと思います。
  • ・英語が含まれていない入試方式で入学してくる学生の中には、下位クラスのレベルにもついていけない学生が確実に存在している。
  • ・鹿児島大学の共通教育科目としての英語科目の到達目標を考慮した場合、こうした学生は、他の学生と同じ学修時間・学習量では目標の達成は極めて困難である。入学前教育や授業時間数増、補習教育の充実やサポートデスク設置等、課内・課外を含めた学修支援体制の構築を図る必要がある。

 
2. 基礎教育科目における未履修学生の問題
 
 基礎教育科目に関しては、以下のような要望があった。
 

 

 

  • ・高校時代に生物を履修してこなかった学生の補習授業など、未履修学生のサポート体制を学部任せにしないで、もっと全学的に取り組んでほしい。
  • ・入試方式によっては、専門教育の受講に必要な科目を未履修のまま入学してくる学生がいる。そうした学生はゼロから学び直す必要があるため、入学直後からの基礎教育科目受講には無理がある。
  • ・基礎教育科目の到達目標は各学部学科で大きく異なると考えられる。それぞれの専門教育を効果的に行うために必要な基礎知識量が異なるためである。このため、学部学科ごとの到達目標の設定とそれに応じた基礎教育科目の運営について早急に検討を行う必要があるといえる。

 なお、今回の授業改善メモでは、以下のような具体的な対応策の提案もあった。現状では、学力に問題のある学生への対応は各学部に任されている部分が多く、全学的なプレースメント・テストの実施や、入学時の状況の把握も行われていない。下記の案も含め、確実に専門教育の受講に耐え得るだけの基礎学力を保障する基礎教育科目の構築に向けて早急に改善を図る必要がある。
 

 

 

 

 

 
 当面の代案として、前期の授業がスタートする前に、期末試験と同程度の基礎学力試験を実施し、点数が合格点(60点)に達している学生については、その学生の同意が得られることを条件に、その基礎学力試験の成績をもって、微分積分学Bの最終成績として、微分積分学Bの履修を免除する。

     
  • ・高校で「数学Ⅲ」を履修していない学生が3割程度いること、また、基礎学力が低い学生がかなりいることを踏まえて、次の3つのコースを設ける。
     
  • (1) 高校で「数学Ⅲ」を履修していないか、履修していても身についていない学生を対象にしたコース
  • (2) 高校で「数学Ⅲ」を履修しており、かつその内容が十分身についている学生を対象にしたコース
  • (3) 極めて学力が低いと判断される学生を対象にした、週2コマのコース
  • ※プレースメント・テストを行い、その結果に基づいて振り分けを行う。

 
 


【共通教育改革や中間アンケートに関する意見】 (文責:教育センター 渋井)
 
 全てで26件の多様な回答が得られた。以下に、共通教育改革に関する意見及び中間アンケートに関する意見に分けて検討を行う。
 
○共通教育改革に関する意見
 
 共通教育改革に関する意見については、少数の回答しか得られなかった。その内容は、

 

  • ・特に、現状を変える必要はないと考える。
  • ・非常勤講師の構成を考えていくことがこれからの課題。
  • ・非常勤は極力廃止すべきである

との意見であった。
 
また、

  • ・本年度から実施している共通教育改革についてはよく知らない

との意見もあり、改革に関する知識の少なさや、全体的な回答の少なさから判断すると、共通教育改革に関して、構成員に対する周知とその意義の説明を十分にしていく必要があるのではないかと言える。教員が自分の授業がカリキュラムの中でどのような位置づけになっているか、どのような授業が望まれているかを自己で分析し、それに沿って改善できるように、共通教育カリキュラムについて十分な説明が必要であろう。
 
非常勤講師の構成は、比率を高めることで財政的な課題に答えることや、多様な授業を確保するなどのメリットがある。当然、理想的には専任教員で担当できれば良いことは言うまでもないが。その在り方は議論して行く必要があるだろう。
 
○中間アンケートに関する意見
 
 22件と、比較的多数の意見が得られた。ここでは、

  • 1.アンケートや授業改善メモに対して、その意義を疑問視する意見
  • 2.アンケートや改善メモの、更なる活用等を求める意見
  • 3.Moodleの利用に関する意見

と3つに分けてまとめることとする。
 
1.アンケートや授業改善メモに対して、その意義を疑問視する意見
 
中間アンケートの実施や、その効果、改善メモの意義について批判的な意見が7件あった。ここでは、毎年実施することに関する疑問や、アンケート疲れに関するものであった。例えば、

  • ・個人的な意見ではあるが、一律にすべての講義でアンケートをとるのはもう止めませんか。行いたい教員・講義だけ行えば十分です。あとは無駄だし、弊害もあります。このような「授業改善メモ」を一律に書くことを義務づけるのも止めませんか。

などである。
 
一般に評価・改善や、FD等についてのアンケートを実施すると、その負担についての意見が寄せられることが多い。評価・改善に関するコストとその効果について議論して行くとともに、活動の意義についても理解が得られるような働きかけをして行く必要があるだろう。
 
2.アンケートや改善メモの、更なる活用等を求める意見
 
 ここでは、現状のアンケートが有効である旨を示す意見や、アンケートのフィードバックの取組についての意見、評価結果をインセンティブにつなげる提案等が、9件見受けられた。
 
アンケートの有効性については、

 

  • ・オリエンテーション、中間、学期末と3度アンケートをしているが(オリエンテーションでは簡単な実力テストと授業に対する要望、将来の夢などを聞いている)、折にふれて学生の意見を聞くことはよりよい授業運営に必要なことだと思う。
  • ・授業改善メモを作成することは、自分の授業を振り返り、次回の改善を考えるのに役立つと思う。特に、対象(学部や性)により反応が異なるため更なるデータ収集が必要である。

などに代表的に見られた。
 
フィードバックの必要性を示す意見は、

  • ・中間アンケートは毎年実施している。ほとんどがこのままで良いという意見であるが、たまに要望や勉強法についての疑問が書いてある。必ずしも要望に応えられるわけではないが、次の授業でそのような意見を紹介し答えるというフィードバックを行っている。アンケートをするのはよいが、フィードバックを必ずしなければ意味がない。

などであった。
 
インセンティブについては、

  • ・授業評価を教員側のインセンティブにつなげるために、ボーナスの連動等、積極的な取組を、透明性高く行っていただけるとありがたい。

という意見であった。
 
 このように多様な意見が見られたが、個々の教員がそれぞれの考えのもとに、アンケート結果を改善に用いていることがわかる。アンケート結果の活用の取組を統一的に義務化して実施して行くことは、前節でまとめた負担感を主張する意見が多い中でなかなか難しい。しかし、改善メモによる振り返りの結果を見てみる限り、アンケートと改善メモの存在は一定の効果を生んでいるようである。
 
3.Moodleの利用に関する意見
 
 Moodleを使ってアンケートを行っている教員から、そのメリットとデメリットについて指摘する意見がそれぞれ、計6件あった。メリットについては、回答時間を学生が選べる点や、中間アンケートに限らずアンケートを実施し易いという意見であった。
 
メリットを示す意見として、

  • ・中間アンケートは、有用な場合もあると思うが、本授業ではあまり役立っているとは思えない。普段からMoodleを使って学生にいろいろなことを書かせていると、学生の意向は充分把握できるし、特に必要であれば独自にアンケートを取ることもできる。

などがあげられた。また、全てオンラインのシステムで行ってほしいという意見も見られた。
 
一方、デメリットを指摘する意見としては、回答数が少ないことや、携帯電話での回答に、回線使用料の負担がかかることなどがあげられた。
 
 以上の様に、Moodle利用でのアンケートの実施には賛否があるが、利用している教員は、おおむね満足しているようである。

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