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平成26年度後期「授業改善メモ」のまとめ

【授業改善に向けての試みや工夫】(文責:教育学系 髙谷 哲也)

 授業改善に向けての試みや工夫には、各教員から多様な試み・工夫が報告された。授業科目の特性に依存する部分もあると思われるため、「情報」、「選択」・「日本語」、「体育」の科目区分ごとに取りまとめ掲載する。

1.科目区分「情報」における「授業改善に向けての試みや工夫

 Moodleを活用した講義資料・内容・課題の公開、社会に出てから具体的に求められる技術に即した講義内容とすることが報告されている。具体的に報告された主な工夫は以下のとおり。
  • Moodleを活用し、授業で説明したスライドや資料、課題やその結果等はすべて公開している。レポートもすべてMoodleに提出させ、こちらで評価点をつけて返している。従って、レポートの提出状況を学生自身が管理したり、評価についてもいつでも確認したりすることができる。
  • WordやExcelの利用法については、教科書に書いてある程度ではなく、社外文書やスタイルを活用した論文形式の書き方や、条件関数、日付関数など就職してから企業で役に立つ技術を中心に指導している。
  • 講義資料や課題の配布(メール添付含む)を行い、習得レベルの低い学生には、適宜、TAと一緒に個別のサポートを行った。オフィスアワーも設けていたが、活用が少なかったことから、次年度は、グループワーク等も考慮して、さらに学生の理解度の向上に努めたい。

2.科目区分「選択」・「日本語」における「授業改善に向けての試みや工夫」

 多数報告された試み・工夫を分類した結果、「内容構成・展開上の工夫」、「資料の工夫」、「フィードバックの工夫」、「グループワークの工夫」、「宿題・時間外学習に関する工夫」、「試験・課題に関する工夫」のカテゴリーに整理することができた。紙幅の都合により、以下には、各カテゴリーにおける工夫のうち、具体的な説明のあったものに厳選して掲載する。
 
(内容構成・展開上の工夫)
  • 講義形式とグループワークをうまく結びつけること。
  • 授業開始時に学習目標を板書している。
  • 前半DVDを視聴して各授業テーマへの興味を喚起する話し方が、学生全般におおむね好評であるので、DVDを厳選し、一層効果的に使用していきたい。
  • 教室内での講義だけでなく、構内での屋外観察を取り入れて、実物に学生が触れられるようにしている。
  • 個人が課題をこなすだけでなく、クラスメイトや先輩の課題を参照することを通じてより多様な表し方を学ぶ機会を提供している。
  • 毎回最初に、「あなた自身が、当事者でこういう状況の時、どう判断し、どう行動するか」という形の設定課題を出している。これによって、その回の講義内容の必要性や意義について、各学生が理解しやすくなると考えている。また、通常同じ設定課題に最後にも回答してもらい、学生の判断がどう変わるかを集計し、次回の講義で紹介している。
(資料の工夫)
  • パワーポイントは、毎回新たに作成し、その配布資料についてもできるだけ見やすくなるよう努力している。
  • 授業では動画やビデオを含むできるだけ多くの画像資料を用いるようにしている。
  • 授業内容を少しでも理解しやすくするために, 地図・図表・系図・年表等を資料として配布するとともに、授業の流れを纏めたレジメを毎回配布している。
  • 授業で用いるスライドと同じ内容のものをカラープリントで配布し、受講者が必要に応じて書き込んでもらえるよう配慮した。
(フィードバックの工夫)
  • 毎回講義の最後に提出させているレポートに記載された疑問点・質問には、極力次回に回答するようにし、講義で理解できなかった部分のフォローにつとめている。
  • 毎回の授業感想シートを教員と往復させ、各人の興味・関心に沿って、考えが広がるようにコメントした。
  • 身近なニュースをまずは大学周辺の事象から取り上げるようにした。毎回、提出させる感想レポートの一部を次の週の授業で紹介。一つの事象にさまざまな意見、感想があることを感じ取ってもらえたと思う。
(グループワークの工夫)
  • グループでの話し合いの際、全員で共有しやすいように工夫している。
  • 座席は知り合いでない他学部の人と毎回座ってペア学習やグループワークができるように学生に働きかけている。
  • ディスカッションを多く取り入れたため、モチベーションの高い学生にとっては満足のいく内容になっていたと思う。新たな視点に気づいたり、個々人の関心をさらに深めることができるように努めた。
  • それぞれの考え方を尊重した意見交換ができるように、一方的な意見の押し付けにならないように配慮した。
  • 教員は何が問題か、何がおきているかを説明し、その後どのように考えるか、理解するかについて、学生同士のディスカッションを重視している。ディスカッションをするためには、事前の学習が不可欠であり、学生自身が主体的に学ぶことができるように工夫している。
(宿題・時間外学習に関する工夫)
  • 毎回宿題を出し、その内容を前提として次回の授業を設計している。
  • 宿題をしてこないと次回の活動に支障が出るような形にすることで授業時間外学修をさせている。
  • 時間外学習については毎時間に任意の復習レポートを課し、平常点として評価している。内容に関しては社会の変化を題材にしているので、視聴覚の資料を活用するようにしている。
(試験・課題に関する工夫)
  • 小レポート(新聞記事をテキストにしたもの)と課題レポート(新書をテキストとしたもの)を課し、期末試験での答案作成に向けて段階的に長文での論述になれるようにしている。
  • レポートを単なる論述だけでなく、受講者の興味に応じて創作的な要素も取り込み、主体的に取り組めるものとしている。

3.科目区分「体育」における「授業改善に向けての試みや工夫」

 本科目区分において共通してみられる特徴的な試み・工夫として、「教員と学生の間の信頼関係の構築」や「学生間の人間関係」を大切にした取組が報告されている。実際に報告された内容は以下のとおり。
  • 毎週の学びや感想に関するレポートを提出させる点にこだわっている。その理由は、知的理解(学び)以前に、教員(大学)と学生間の信頼関係の基礎をより強くするためである。
  •  個々の学生の言動についてさらに丁寧な対応を心掛けた。
  • 編入生や再履修の学生と思われる学生達が抵抗感なくスムーズに学びができるよう配慮した。
  • グループ分けに最大限配慮した。男女別、能力別、経験別を踏まえてのグループ分けとした。ペア、グループなど協力して活動できる学習内容を工夫した。身体活動を通してのコミュニケーションの広がりを持たせる学習上の工夫を通して、協力、協調、グループ全体の技術向上を学生間で自然にもてる関係性を構築するよう努力している。
 

【授業改善に関連した意見・要望等】(文責:教育学系 髙谷 哲也)

 授業改善に関連した意見・要望等については、大きく分けて「本取組やアンケート実施方法等について」と「施設設備に関すること」について、意見・要望が寄せられている。
 本取組の意義・効果に対する一定の評価がある一方で、実施方法の信頼性・妥当性を検討し直す必要性も指摘されている。それらについては、今後の実施方法を具体的にどのように改善・洗練していくかという側面において非常に重要な指摘であると考えられる。そのため、「今後の本取組に対する意見」という項を追加し、具体的に報告された意見を掲載する。
 
(本取組やアンケート実施方法等について)
  • 中間授業アンケートは、後半の授業改善のための役に立っている。
  • 授業改善について、教員間で意見交換ができる場をもつことはなかなか困難なので、意見をまとめていただくと参考になる。
  • 「学生による授業評価アンケート」の結果で自分の授業をフィードバックしてみることができ、今後の授業改善に活用することができてありがたい。
  • 「授業改善メモ」を作成することで、次の授業をどのように改善すべきかの視点が整理できる。
  • 最高値4.0の評定のついた授業はきっと学生のモチベーションも高いものと思われるのでぜひ参観してみたい。
  • 4点の高評価を受けている方々が評価を受けている要因を知り、可能であれば良い点を自身の講義にも応用したい。
  • Moodleでのアンケート調査の場合、ブラウザを起動したり、Moodleにログインしたりと、面倒なプロセスが絡むので、紙を配布して全員に回答させるよりも、学生がより自発的にアンケートに答える形になるので、割と正しい回答を得られていると思う。しかし、そのプロセスが面倒な学生が大多数なので、必然的にアンケート回答数が少なくなってしまう。
(今後の本取組に対する意見)
  • 中間アンケート”や“授業評価アンケート”は、担当講義外で実施した方が、もっと学生の生の意見が聞けると思います。
  • 学生を満足させるのが良いこととはかぎらない。もっと知的に飢えさせる必要も感じる。
  • 一律にすべての講義でアンケートをするのはもう止めませんか。行いたい教員・講義だけで行えば十分です。あとは無駄だし、弊害もあります。このような「授業改善メモ」を一律に書くことを義務づけるのも止めませんか。
  • 授業がシラバスどおりにすすめられたかどうかについて、評価が低めであった。しかし、これはむしろ必要なことであると考えている。参加学生の専門性や関心に沿って、深く学ぶ部分やさらっと流す部分などメリハリをつけて臨機応変に対応することが常に必要であると感じている。
  • アンケートでは、「あまりそう思わない」や「そう思わない」と回答する場合、その理由を具体的に書かせるようにすべきである。理由がはっきりしていれば、ただちに対策が講じられます。アンケートの回答の仕方の改良を検討いただければありがたい。
  •  「授業改善に資するアンケート結果」については、体育・健康(実習)のデータが実習Ⅰと実習Ⅱが分けられたデータではないので、比較検討が難しい。授業内容、形態が異なるので、できれば実習ⅠとⅡは分けたデータ集計をしていただけたら、分析が更にしやすいかと思います。
   

【授業改善に関連した意見・要望等】(文責:法文学系 鳥飼貴司)

 今回も各教員から授業改善に関する様々な意見・要望等が寄せられた。寄せられた意見・要望等に記されていた内容について、平成26年度前期「授業改善メモ」のまとめを踏襲して下記の4項目に分類することにした。以下の分類は便宜上のものであり、分類が適切でないものがあるかもしれないがご海容頂ければ幸いである。また、要望などについては文責者が簡略化すべきではないと判断したものについてはそのまま記載した。

1. 授業改善メモに関して

  • 授業改善メモを作成することは、自分の授業を振り返り、次回の改善を考えるのに役立つと思う。しかし、こうした成果を同じ分野の授業と共有していく取組も必要ではないか。もっと組織的に改善できるような取組も企画してもらえるとありがたい。
  • アンケートQ6の発言や質問し易い配慮とは、何を期待しているのかよく理解できない。学生諸君が発言し易いと感じる必要があり、そういう雰囲気を創りだすことが求められているのであろうか。私語や雑音を禁じると、この項目に影響があるのではないか。
  • 卒業時に共通教育で学んでよかった、あるいは学びたかった事項についてアンケートをやって欲しい。

2. 組織的取組による教育改善の提案

  • 学生が筆記体に慣れておらず、活字体での板書に違和感を持っている。
  • 担当教員の負担が大きいため,教員・非常勤講師のサポートをお願いしたい。
  • ALL CLASSES SHOULD BE 1 YEAR IN DURATIAN.
  • 進学率の上昇により以前より習熟度の低い学生が入ってきているのではないかと思う。勉強の仕方が身についていない学生がかなりいるようだ(質問に来た学生複数と話した印象)。それをふまえた取組を行ってゆくべきではないかと思う。

3. 備品等環境整備の要望

  • 大きな教室で行いたい(グループ討議するには狭い)
  • Moodleなど工学的技術を駆使できる環境が欲しい。

4. その他

  • 教育者として教えるべきことと学生側の要望にミスマッチがあるなかで学生による点数付けで講義を評価することが教育にどういう効果を与えるかについては、今後も敏感でいて頂きたい。その様な点に関して、授業アンケートだけでなく、現在鹿児島大学はすぐれた方針で臨んでいると思いますが、将来的にこの了解事項がもし失われたならば、そのときには教育に深刻な影響を与えることになると思います。
 以上のように、授業改善に関するさまざまな意見が寄せられた。
 「1.授業改善メモに関して」は、授業改善メモの実施自体には肯定的な意見があった。しかし、一方でアンケート内容について「よく理解できない」とする意見もあった。また、卒業時において、学生が共通教育を振り返るためのアンケートを実施して欲しいとの要望もあった。
 「2. 組織的取組による教育改善の提案」には、教育改善に対する具体的な提案もなされている。今後の建設的な検討の契機になれば幸いである。
 「3.備品等環境整備の要望」では、グループ討議などに利用できる大教室、ホワイトボードなど設備に対する要望があった。またMoodleの利用に対する要望が寄せられた。
 「4.その他」では、非常勤教員のオフィスアワーに対する配慮を求める意見があった。また、教員の求める教育内容と学生の求める教育内容にミスマッチがある点は、今後共通教育の内容がどうあるべきかという検討事項になると思われる。
 
 
※以上の要望に加え、施設設備に関する要望が多くあり、既に教育センターで対応済みのものもありますが、予算面での検討が必要なこと、他部署との調整が必要なこともありますので、関連部署との連携を図りながら対応していきたいと考えています。
 
掲載日:平成27年8月25日 編 集:学生部教務課教育推進係 鹿児島大学教育センター高等教育研究開発部会

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