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平成27年度後期「授業改善メモ」のまとめ
教育センターでは、教員が授業をより良く改善するために、前後期末に学生による授業アンケートを実施している。その結果を踏まえ、授業担当教員から授業改善メモが提出される。この授業改善メモには、教育改善のための有益なコメントや要望等が多数含まれている。高等教育研究部会では内容のとりまとめを行い、教育センターのホームページに掲載している。以下に平成27年度後期の授業に対して提出された授業改善メモを、1.授業改善に向けての試みや工夫、2.授業改善に関連した意見・要望等、3.その他、に分けて紹介する。
1.授業改善に向けての試みや工夫 (文責 歯学部 佐藤 友昭)
各先生の工夫をこちらで分類し(同様の内容は省略し)、列挙している。○のついた項目は各先生からのアンケート文章の内容から抜粋している。各先生の苦心奮闘が示されていた。
1.学生が溶け込み易い雰囲気づくりを重視する。
- 学生が質問し易い雰囲気作りに努力している。
- 教員やTAが積極的にコミュニケーションをとっている。
- 学生の授業参加を促し、満足度の向上に心がけた(語学)。
- 質問に来た学生に長い時間(2, 3時間のこともある)をかけて、勉強の仕方の基本から教えてあげる。
- 教壇に立つばかりではなく、学生の席の間を回って、学生の近くで発音し、真似させることで、学生が聴き取れやすく、授業参加のモチベーションも高まってくる。
- 授業の合間にはドイツ語圏の文化や歴史、自然に関する映像を見せ、言語の背景となる地誌的情報を与えるだけでなく、気分転換の時間としている。
2.学生個々のレベルを考えて教授法を変えている。
- 学習する必要性を理解させる。
- 流体力学と熱力学は難解な学問であり、いかにイメージを持てるかが勝負だと思うため、具体例などを多く挙げるようにしている。
- 教科書の内容に付け加えて例を多く提示した。難しい証明の議論は、理解は後回しにして気楽に聞くよう促したり、大事な定理は内容を2度説明する
- 学生の日常生活に照らし合わせながら説明をしている。(理論と実践を繰り返すなかで理解していくことが重要であるから。)
3.教員側の細やかな対応
- 学生が書いたものに対してはできる限り個別にコメントを返している。レポートに対して添削をするにしても、「なぜこの表現ではいけないのか」「この記述のどこに問題があるのか」を指摘して、理解させるように試みている。
4.授業内での工夫
(1)学習法の工夫
- 情報活用基礎の最終目標はソフト利用の技法の伝達ではなく、よい卒論を書けるようになるとの観点から、論文の内容と構成について一人一人に批評させ、一方通行の講義からの脱却を目指した。
- ワークシートを毎回準備し、テキストに入る前に毎回Warm Upの活動を行い、その日に何を学習するのかを認識させた。CDを使用し、リスニング、英作文、リーディングを行い、ワークシートを毎回提出させた。またDVDを使用することにより、音声だけでなく、視覚からも英語を理解できるように試みた。
- 受身的な読解作業はできる限り抑え、学生自身がリーダーシップを発揮できるよう、ミニプレゼンや、長いプレゼンなどを交え、毎回、様々な国の学生がテーマを変えて、発表できるように設定した。
- ほぼ隔週の割合で節末問題を宿題に課し,レポートを提出させている。レポートは評価をして返却している。同時に,模範解答を印刷して配布している。
- 150頁程度のテキストを購入させ、これを3回程度に分けて自ら読み,レポートを書かせる宿題を実行している。
- 英字新聞で取り上げられた旬の話題(環境問題等)を題材として、ワークシートを作成して、授業外課題として学習してもらうことを始めた。
- 授業外学習として、English Centralというe-learning学習も毎回行わせ、学生自律学習を促した。
- グループプレゼテーションでは、授業時間外活動も促した。
- ポスターによる発表とパワーポイントによるプレゼンテーションを学生に課した(英語)。
- 2ページ程度の学術論文を1回宿題として与え、それを講義の一環として読みあわせをし、読解力の向上、専門英語への橋渡しをしている。
- 隣席同士でペアを組ませ、会話練習を行うことにより、学生の外国語コミュニケーション意識を高めるよう努めている。
(2) 小テストの実施
- 毎回小テストを行う。学生が授業に対する緊張感をもつ. その結果, 全体的な出席率も概ね良好であった.
- 回答を明示する事によって、習得すべき内容を分からせることができる。また、未修得の内容を先送りしない、溜めない効果があった。
- 学生自身が、どこが分からないかを自覚できる。
- 演劇作品を取り上げる際に、事前に作品名を知らせてあらかじめ読んでくるように指示し、次回に小テストをしている。
(3) LMS (Learning Management System) の使用
- I will continue to use Moodle, speciallity the discussion forum, as a warm-up for class. Using this forum gave students a chance to discuss the topic ,making in class time more efficient.
- "Glexa"を利用し,Web上で授業内容のプリントを配布している.授業開始の少なくとも1週間前までには,学生たちがダウンロードできる状態にし,授業に先立ち予習できるように工夫している.
- メールで質問を受付け,数式を要する回答はMoodleにファイルをアップロードする.という形で対応している.
- 毎回のスピーチやプレゼンテーションで、全員が各発表のフィードバックを記入し、教員がそれを回収してPDFに変換し、moodle上で閲覧できるようにしている。
(4)ワークシートの使用
- 課題ではテキストの内容を掘り下げる内容を問うワークシートを行わせた。
- 問題演習だけでなく、ワークシートも授業中に使用
- ワークシートを毎回配布し、テキストのトピックを深め、自分の考えを英語で表現することも行った。
(5)コアカリガイドブックの使用
- 授業ではコアカリガイドブックを併用している.コアカリガイドブックには,演習問題も付帯されており,授業が終わってからの復習に役立てるようにしている.
5.その他
- 複数種目を実施する際、最も気を付けることが安全面の配慮(体育健康)。
- 毎月1回授業担当者会議を開催し、教育PDCAを十二分に行った。(進取の精神)
2.授業改善に関連した意見・要望等 (文責 工学部 平田 好洋)
下記のような授業現場からのご意見・要望等が書かれていた。原文で紹介する。
- 「授業中にスマートフォンでアンケートを実施しますと、回答率が上がるので、より効果的です。」とあったが、 そもそも授業中に学生にスマートフォンを使用させることに抵抗がある。また、授業時間は貴重なものであり、授業の改善のために授業時間を削ってアンケートを行うことは、 本末転倒であるように思う。 授業アンケートの重要性は理解しているが、 各担当教員が指示するのではなく、 授業時間外に教育センターから学生に一斉に指示し、実施してもらえるとありがたい。
- 授業改善メモを作成することは、授業を振り返り、次回の改善を考えるのに役立つと思う。真摯に学生の意見や要望に応え、授業改善の工夫をしたい。
- 中間アンケートは、授業に対するどのような要望があるのかを教えてくれる良い手立てとなっていると感じる。実際,アンケートに書かれている受講者の声から、その後の授業に何が必要か、どこにもっと重点を置けばいいのか、学生は何を望んでいるのかなど、多くのヒントをもらうことがあり、役立っている。
- 特に必修の科目の内容に対して、内容がむずかしすぎる等の質問は不要である
- 授業改善メモを作成することは、自分の授業を振り返り、次回の改善を考えるのに役立つと思う。しかし、こうした成果を同じ分野の授業と共有していく取り組みも必要ではないか。もっと組織的に改善できるような取り組みも企画してもらえるとありがたい。
- 受講生は基本的に自分(の意見)を発表したいという欲求を持っており, 機会を捉えてアクテイヴ・ラーニングにつなげたい。
- 今回はムードルでアンケートを取ったのですが、80名前後の受講者に対して12名しか回答がなかった。今まで紙のアンケート用紙でやっていた時には、受講者に対して2/3くらいは回答があったので参考になりましたが、今回は参考にするには回答が少なすぎたように思われました。
- すべて記名アンケートとし、「自分たちの大学をよくするために信念を持って大学・教員・授業を批判する勇気を持て」と教えるべきである。中間アンケート実施の可否より、それが役に立つよう学生を指導すべきだと思う。
- 中間アンケートは、学期の途中で実施されることから、授業の修正が可能となり、授業改善に役立つものと思う。
上に書かれているように、授業アンケートは学生の意見をすくい上げることに有用であろう。実施の形にはMoodleと紙媒体の2種があるが、紙媒体の方がアンケートの回収率が高いようである。また、アンケートの記入には、無記名と記名の2種があり、現状は無記名となっている。記名アンケートを要望される教員もいる。実施の時期も授業中と授業外の2種がある。アンケート結果の科目教員間の共有もまちまちである。従って、教育改善のためには、センターが主体となった実施形態も討議する必要がある。すなわち、(1)アンケートの実施日と実施方法(Moodleか紙媒体のどちらか)を決めて、センターが主体となりアンケートを実施する、(2)守秘義務を前提として記名アンケートも視野に入れ、学生に深い意見も書いてもらう、(3)アンケート結果をその科目を担当する教員グループ内で共有してもらい、グループとしての改善策を検討してもらう、(4)可能な改善策をセンターが責任を持って積極的に実施する、などである。
3.その他
上記の1,2の項目以外に重要と思われる現場の意見を以下に紹介する。
- 授業に出席しないでMoodleを読んでレポートを書くのも自由な発想だと思う。最初はそういうことも知恵のひとつで結構と思っていたが、途中から「何か書けば点数は甘い」という噂が蔓延したようで、欠席してミニッツペーパーだけ出す学生が1/3を越えた。これに対し、熱心に出席している学生から不満が出た。それを機会に方式を換えたが、反感が強まった。
- 消極的な日本人学生が少しでも英語に慣れるように、留学生2名に対し、日本人学生1名を組み合わせて、座席指定し、グループ討論などが活発に行われるよう、アレンジした。また英語によるプレゼンなどは、日本人学生への指名は学期後半にして、リラックスしてやれるように工夫した。
- この授業は20年くらい担当しており、例年特別よい評価とも言えませんが、まあ平均的な評価だったのが、今年は全体的に評価が下がっており、正直なところ驚きました。考えてみると今回はムードルでアンケートを取ったのですが、150名の受講者に対して21名しか回答がなかった。今まで紙のアンケート用紙でやっていた時には、受講者に対して2/3くらいは回答があったので参考になりましたが、今回は参考にするには回答が少なすぎたように思われました。Moodleで出席を取っているので、それには皆答えても、出席に関係ないアンケートには、あまり答えなかったようです。
Moodleは便利なツールであるが、上に書かれたように必ずしも効果的な結果をもたらすとは、言えない。よりよい利用法を学生と教員の両方に明示する必要がある。また、本学には多くの留学生が日本人学生とともに学んでいる。彼らに対しても効果的な授業のあり方に配慮する必要がある。この点は、これまであまり議論されてこなかった。改善の余地がある。留学生センターとの意見交換も含めて、留学生と日本人学生の両方に有用な授業のあり方を考えなければならない。