平成29年度前期「初年次セミナーⅠ」
1.授業改善に向けての試みや工夫
【講義の工夫】
-
課題に取り組む必要性など、自分がまず理解して説明する。その上で具体的な作業に取り組ませるようにした。
-
毎回の講義で今日は何をやるということをPPTで示し、相互に確認しながら進めるようにした。
-
教科書や手引きから作成したスライド資料や自主教材をもとに授業を行った。
-
これまでに自分が関わってきた学生の卒論や修論発表のスライドを紹介し構成やまとめ方を提示したところ、興味をもって聞いていたように思われる。
-
学部で行われている専門の授業において、板書の方がインパクトが強く、プロジェクターを用いた説明は頭に残りにくいという声があり、本授業においてもPCとプロジェクターを過度に使用しないようにしている。
-
講義資料を作成し配布することで、具体的に行う活動内容の理解を促進させる工夫を行っている。
-
意欲は高いものの人前で話すことや積極的に他者と関わることが苦手な学生は、Moodle上の成果などに良い点を見出すよう意識した。また、人前での質問・発言が苦手であることが自覚できただけでも取組みの価値はあること、また即座にクリアできる能力ではないため4年間の学びを通じて少しずつスキルアップを試みれば良い旨を全体に伝えた。
-
毎時間の終了時に質問時間を設けた。
-
「出席簿」というタイトルでシャトルカードを配布し、毎回学生とコミュニケーションをとることで、学生がドロップアウトすることを防いだ。
-
入学して間もない1年生には自主学習を行う癖を付けさせることが重要である。しかし、ただ漠然と「自主学習をしてきなさい」と指導しても、何をやるべきなのかわからないかもしれない。そのため、「〇〇を調べなさい」といった具体的な指示を出すことが、自主学習へ積極的に取り組む訓練になると考えている。
-
初年次セミナーⅠでは(具体的な内容の)事前・事後学習を毎回課し、事前・事後学習=自主学習と考え、必然的に自主学習を行う様にしている。
【教員の姿勢や教授上の工夫】
-
提出物には全てコメントを書いて返却するようにした。
-
授業中に教室内を歩き回って、困っているところがないか尋ねるようにした。
-
個々の学生とコンタクトを増やし、担当した学生のタイプに合わせながら、授業内容を調整しつつ進めた。
-
笑いが起きるような楽しい雰囲気づくりを務めた。
-
班での作業の時に、各班にまわり、そこで丁寧に指導するようにした。
-
まず各自の意思を自分の意見として発することが出来るように、対話を重視している。
-
毎回、授業ごとの目的・目標を話し、実施する活動についても毎回タイムスケジュールを提示したところ、「授業が分かりやすかった理由」に挙げる者が多くいた。
【学び合いの工夫】
-
グループ学習によるアクティブラーニングが1つの売りであるので、他人とのコミュニケーションを取ることの良い経験にもなるよう、グループでの話し合いの時間を十分取った。
-
毎回、グループごとに進行役を決めさせ、進行役に議論の要旨をまとめたものを作成させ提出させた。各グループの進み具合の把握に役に立ったように思う。
-
取り組み課題の最後には必ずグループの代表者に当日のフィードバックをコメントさせ、ディスカッションを行なった。
-
講義内外で質問・発言することに抵抗のない学生が数名おり、彼らが他の受講者達の行動促進に大きな影響を及ぼしたと考える。できる限り、その都度、彼らの行動を受講者の前で評価した。
-
この科目は、学生がグループ単位でひとつの作業に取り組む経験を積む場でもある。限られた時間や環境においてうまいプロジェクトを走らせるためには組織の中でどのようにふるまえばよいか、または組織のメンバーをどのようにリードすればよいかを考えさせるように促している。
-
グループ内でのコミュニケーションを図るためにものづくり活動などを一部取り入れた。グループ内での話し合いや教えあいが起こり、概ね良好な結果だったと判断している。
-
個人ワーク・ペアワーク・グループワーク・全体共有を組み合わせて取り入れることにより、他学部との交流や協力し合えたことへの満足感が多く述べられており、特にグループワークは好影響を与えている様子が伺えた。
-
毎回の宿題チェックは、次の回に、やってきた宿題を使ってグループ学習をさせるなどして、提出してもらう前にグループ内で活用させた。
【これから実施したいこと】
-
「もう少し発表準備の時間が欲しい」に対し、発表の準備は授業時間内に行うのではなく、自主学習時間に行う様周知する。
-
プレゼンの順番決めの理由をはっきり伝えることとする。
2.授業改善に関連した意見・要望等
-
学部が違う学生が集まっている授業なので、グループ全員が一同に集まれるのは唯一授業時間だけである。教科書の内容の大半は自宅学習に回し、集まる貴重な時間をプレゼンテーション作成のためのグループ学習・調査にもう少し多く割くべきと思う。
-
制度上、大学生の学習状況を学習“時間”の観点から見る必要性は理解しているものの、“時間”では測定できない観点からは受講者の意欲・試みを評価したい。評価しにくい観点を目に見える形で受講者にフィードバックできる方法を検討する必要があると考える。
-
(KPT法やPDCAサイクルなどおそらく大多数の教員が)専門外であり、このような新しい考え方については、適宜セミナーなどを開いて知識の共有を図っていただけると助かる。
-
プレゼンがうまくなるメリットを体感させるためにも、学内レベル、もしくは学会レベルでの発表を行うことなど、組織レベルでの工夫を行うことを進言する。